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3人の王子

 相変わらず自分の放った銀の矢に執拗に攻撃されていたクリストファー王子だったが、シールドと風魔法で次々と防いでいた。しかしキリがない。


「しまった!」


3本同時にかわした後、隠れるようにして心臓を狙ってきた一本に反応が遅れる。

一瞬、やられたかと思ったクリストファー王子だったが、目の前を銀の狼が通り過ぎ、銀の矢を咥え、噛み砕いた。


「危ないよ、クリス」

「リン兄様!」

ーーいつだって、リン兄様はカッコいい。やんちゃで無鉄砲だけどいつも僕を助けてくれるんだ。


 銀の狼は、スッと人間の姿になる。いつものリン兄様だ。輝く銀の髪を軽くまとめて、凄みのある不敵な笑顔で敵に対峙する。

 そして銀の髪にさしていたピンを引き抜くと、ブワッと力を込めた。するとそれは一瞬のうちに輝きとともに長く大きくなり、銀に輝く大剣になった。リン兄様は、その剣を軽々使い、残りの銀の矢を次々と切り捨てた。


 ホッとしたのも束の間、今度はドラゴンの像から大量の黒い霧の渦がいくつかの束になり襲い掛かって来た。避けきれずそのまま二人の王子の身体に巻き付かれてしまう。ぐるぐると渦巻きながら縛りあげてくる。


 息を切らせながら、綺麗なヒョウが飛び込んで来た。

「遅れてすまない。」


ーーいや、全然すまなくないです。超カッコいいです。レニー兄様。

 いつだって、真面目で一生懸命で、少し不器用で、自分より僕達を優先させるレニー兄様だった。ずっと変わってない。大好きだ。


 レニー兄様は、スッと人間の姿になると、輝く金髪と、ちょっと必死な、そして怒った表情で(美形が怒ると凄まじい迫力だ)胸ポケットからペンを引き抜き、そのまま力を込める。怒りが直接叩きつけられた様な力に素直に反応したペンは一気に大剣になり眩しく金色に輝く。

 

 そして僕達に切りかかって来た。


ーードキっとしたけど、結果レニー兄様は、僕達を縛りあげていた黒い霧だけを切り裂き、霧散させた。


 霧から解放され、息がしやすくなる。しかしさっきの様に気を抜く訳にはいかない。

 

 解放された途端、リン兄様はドラゴンの像に獣の様な勢いで飛びかかり銀の大剣を突き立てる。レニー兄様も反対側から金の大剣を突き刺す。


 ドラゴンの像はヒビが入り、赤黒い光と黒い霧が蠢いた。まだだ。まだ足りない。更に大剣に力を込めたレニー兄様が、こちらを振り向く。


「クリス、来い!」


ーー僕は、持ってない。兄様達の様な大剣を。だから魔法だけでここまで来たんだ。でもどうしたらいい。


「クリスっ!!王から、父上から貰った物があるんじゃないのか?」


大剣を突き立てて力を振り絞りながらリン兄様が叫ぶ。

 

 僕は、ポケットを触る。そこには、父上から貰った定規がまだ入っていた。ええー。これですか。

 

 迷うヒマはない。定規を取り出すと、ぶつける様に魔力を込める。一気に大きく長くなった定規は、王家の紋章の入った虹色に輝く大剣だった。虹色の光は、大剣から発せられ、ゆらめく様に立ちのぼる。


 灰色じゃ、ないんだ。

 

 僕はちょっと嬉しくなる。そしてすぐに、大剣を振り上げ、兄様達に駆け寄り、ドラゴンの像に突き刺した。


「うおおおおおおお!」

「うおりゃあーー!」

「くっっっ!くおぉぉぉ!」


 ドラゴンの像は、眩しい光を放ち、ーーーそして粉々に砕け散った。


 肩で息をしている僕達の視界が広がっていく。黒い霧が晴れ渡り、城の周りの森も、城もはっきりとその姿を表した。


 向こうから、ジーヤが駆けてくる…後ろに銀のドラゴンを従えて。すごい。ジーヤ。いつの間に。


 アカリナも、その姿が見えた。ばあちゃんと、龍と、黒いドラゴンまで連れている。きっとすぐこちらに気づくだろう。


「ドラゴンの群れをジルが連れて来るぜ。」


リン兄様が楽しそうに言う。


少し離れた高台に、待機中の皆が見える。周りがキラキラしているのは、負傷者を癒す妖精達だろう。あそこにミオがいる。会いたいなあ。


 ふと地面を見ると、壊れた像の跡に金の小さい丸い宝石が落ちていた。僕達にはわかる。これは誰かの魂だ。小さい金色のトカゲが近寄り、見上げる。


「わかってるよ。君のなんだね。」


口にコロンと入れてあげると、たちまち金のドラゴンになった。

 ドラゴンは嬉しそうに、瞬きをすると、頭を垂れる。


「我々の封印を解き、禍々しい魔力からも解放してもらった。ありがとう。礼を言う。」


 金のドラゴンは、千年封印され今年が解放される約束の千年目だった事、しかし邪悪な魔力に支配され、苦しみながら黒い霧の噴出口になっていた事を話してくれた。


「君達を支配していたそいつは、何処にいるんだい?」


「城の中に。今はもう黒い霧と共に魔力は殆ど使い果たしているだろう。カケラほどになって、あの子の中で暴れているんだ。あの子を助けてやってくれ。」


「あの子って、誰だい?」


「直接は、知らないんだ。空から落ちて来て、変なもん食っちまったらしいんだ。」


「僕達を、連れて行ってくれるかい?」


金のドラゴンは、頷き、それから急に畏まって言った。


「仰せのままに」





読んでいただいてありがとうございます。

ここまでお付き合いいただけて嬉しいです。

今年中に完結予定です!

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