屋上(クリストファー)2
「ち、ちょっと待ったーーー!」
ジルだった。
「お、俺も、行く!連れてってくれ!」
「だったら俺も!」
「俺達も行くぜー!」
「私もジーヤさんに、いえミオについて行きます!」
ジルに便乗して男子達がわやわやと名乗りをあげる。どさくさに紛れて一人だけ手を挙げた女子はユーノさんだ。
「生徒は、危ないから待機です!私は生徒を守る義務がある!ミオさんは特別の様ですが保護者に確認する必要があります!そして、クリストファー王子も私の生徒です!行くなら私が付き添います!」
ウエノ先生は、普段優しげだが生徒の事になると熱い。僕はちょっと感動した。でも、魔力も武器もなく戦力にならない以上危険なだけだ。
「あなたの様な方がクリスの教師で実に嬉しい。しかしながら、クリスは我が弟であり、私は兄で次期国王だ。保護者として王族として弟は連れて行く。他に連れて行く者も責任を持って送り届ける。ジーヤ、他には誰か連れて行ける者はいるか。」
「騎士見習い兼シノビ見習い兼ミオの護衛でジル、それから書記でユーノさん。よろしくお願いします」
「いょっっしゃーーー!!」
「きゃー!ミオ、一緒に行くわ!そしてジーヤさん、どこまでもついて行きます!」
いやいや書記って。
ユーノさんは他の女子達に囲まれて、ジーヤさんの為に、とか是非ジーヤさんの記録も、とか声を掛けられている。あれがミオが前に言っていたジーヤファンクラブだろうか。
他の男子達はガッカリしているようではあったが、口々にジルにエールを送る。
「ジル、俺達の期待を背負っていけー!」
「諦めたらそこで試合終了だからな!」
「優勝まで気を抜くなよ!」
……どこに行く。
クスッと笑ったリン兄様が、フッと魔法を使う。
「悪ガキ共、俺達の通った道を辿って、魔物が来ないとも限らないからな。これで皆を守れよ。」
ぐるぐると光の渦の中から何本もの木刀が現れる。
「職員室に回収されてた木刀…」
「修学旅行でガラス割って回収された俺達のお宝…」
「魔力を込めたからな。魔剣だ」
「!!!」
「全員、ウエノ先生の指揮下に入れ!」
「うおーーーー!」
「はいーーー!」
「すげーーーー!」
「ウエノ先生。それではこちらは頼みました。あなたに守護を。」
レニー兄様と目を合わせ、ウエノ先生がしっかりと頷く。ウエノ先生に薄く光が纏わり、守護の魔法がかかる。
「レニー、そろそろ行きましょう。」
「パティ…そうしよう。」
パトリシア姫の声にレニー兄様は振り向き、視線を交わし、微笑む。一瞬、見せた甘い雰囲気はすぐ隠されてしまうが、僕は真面目なレニー兄様のとろける様な表情を見逃さなかった。愛称で呼び合うの、いいなあ。
「では皆の者!参る!」
王者の風格に戻った兄様が声を上げ、綺麗なヒョウへと姿を変える。兄様を先頭に、僕達の仲間は次々と屋上から飛び立ち始めた。




