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屋上(クリストファー)1

 屋上には、続々と妖精達や動物達が降り立っている。空の上の方のどこかから湧いたように現れて、次々と屋上へと降りてくるのだ。


「兄上、何故ここに?」


一番上の兄は、ケルリア国を継ぐ前にと、姫のいる遠方の国へ留学をしているはずだった。二番目の兄は、妖精の国の王配となり、そこで暮らしているのだが。


綺麗なヒョウが、前に出る。そして、シュッと、人間の姿へと変わる。長身の理知的な顔立ちに厳しい表情が浮かんでいる。それでも僕と目が合うとふっと優しい眼差しになる。


「クリス、久しぶりだな。だがゆっくりはしていられない。迎えに来た。共に来い。」

「レオナルド兄上…」

「…子どもの頃の様に、レニー兄様と言ってはくれないのかい?」


いつも真面目な一番上の兄が、少し拗ねた様に言うのがなんだか可愛い。


「…レニー兄様」

「ああ、それでいい」

「俺もリンでいいぜ」

「リン兄様」


2番目の兄は、銀の狼からいつの間にか人間の姿に戻って傍に来ていた。リンフォード兄上と呼ばれるのは避けたいらしい。僕が子どもの頃の愛称で呼ぶと嬉しそうに僕の頭をワシャワシャと撫でくりまわした。


「クリス、一緒に来てくれ。ケルリアの王城が大変な事になっている」


レニー兄様が、王城が無人になっていると情報が入り一時帰国すると、城に人の姿が無いばかりか魔物が次々と湧いて出てくる状態だったそうだ。同じ情報を得て戻って来たリン兄様と合流し、他国にも使者を出した後、僕を迎えに来たのだ。


「危険を伴う。戦力になる者と希望する者は連れて行くが、クリスだけで充分だ。どうする?」


「僕はもちろん行きます」

「ジーヤももちろんお伴させていただきますよ」

「魔法は必要でしょ!そもそも護衛で来てるんですもの」

「ふぉっふぉっ。わしも行くかのう。面白そうじゃ」

「修業だー!」


いつの間にかばあちゃんやムサシも来ていた。振り向くと、屋上の入り口付近には生徒や先生達がわやわやと集まって見ているし、隣の校舎の窓には野次馬の生徒たちが押し合いながらこちらを見ている。


ふと、ミオと目が合う。

「私も、行く。」

「危ないから、だめだ。」


まさかミオが行くと言うなんて思わなかった。こんな安全な国に生まれて、魔法も持たず平和に暮らして来たのだ。身を守る事も出来ない。無理に決まっている。危険すぎる。


「あなたが、クリスの、運命の人ね?」

「はい。ミオと申します。」


レニー兄様と一緒にきたパトリシア姫がミオに近づき手を握る。


「ミオ、可愛いらしい方ね。それに愛情を感じるわ。この方なら大丈夫。一緒に行くなら、私達の使役をつけてもいいわ。」


もふっと、白い大きな犬が現れて、ミオの傍に立った。ニコニコしているミオの手を舐める。


 不意に僕はイラッとした。アイツ、絶対オスだ。チラッとこっち見て、フフンってした!許さん。


今度は金の狼が金髪のゴージャス美人に変化し、ミオに微笑んだ。ミオは眩しそうにしながら微笑み返す。


「私からは、妖精の護衛を与えるわ。この子達は皆ミオを守るでしょう。」


キラキラと、ミオの周りに羽のある妖精達が舞う。手の平に乗る様な大きさだ。しかし怒らせると恐い事をよく知っている。


「ミオ、共に来い。」

「ええっ!リン兄様!」

「クリスお前過保護だぞ。」


分かってます。でも危険なのに。


「ごめん、ミオ。…僕が守るから。一緒に来てくれる?」

「うん。もちろんだよ。連れて行って」


つ、連れて行ってだって。可愛い。悶絶。どこにだって連れて行っちゃうよ!

いや危ないんだけれども。


「では、出発だ。」

レニー兄様が言う。


「ち、ちょっと待ったーーー!」


ジルだった。



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