隣の席(クリストファー)
次の授業、僕はジーヤに心の中で感謝した。何故って、隣の席のミオが定規を忘れて来て、ちょっと困った様な恥ずかしそうな顔で、定規を一緒に使わせて欲しいとお願いしてきたからだ。
「もちろんいいよ!」
嬉しくて背中から花を出してしまったかもしれない。お願いする時のもじもじしたミオが可愛くて、つい見つめてしまったら、真っ赤になりながら、「ありがとう」と言ってはにかみながらも笑顔を見せてくれた。
可愛い。抱きしめたい。授業中でした。我慢。
ちょっとウエノ先生の視線を感じながら、ミオと机をくっつけて、交代で定規を使った。問題が出題されると、先に僕がすぐに定規を使う。ミオが見ているので張り切ってダッシュで終わらせると、ミオが目を丸くする。今度はミオに定規を貸すと、またありがとうとささやいて受け取ってくれる。
ささやくの…反則。もうミオを連れ去りたいです。我慢。
ミオは少し苦労しながら問題にとりかかる。僕は横から見ていたけど、ちょっと間違った所があったので教えてあげる。ミオは「そっかあ」と直そうとしたけど手間どっているので、僕は片手でミオの使っている定規を少し押さえて教えてあげた。
ミオはますますワタワタしながらもなんとか問題を終わらせた。
一問終わっただけでミオは
「もう限界です…」
と呟いていたけど、苦手な授業だったのかもしれない。それで、その後出た問題は、より丁寧に手取り足取りで手伝ってあげた。
授業が終わるとミオはグッタリしていた。可哀想に、この教科が余程苦手なのかな。今度図書館で一緒に勉強するのもいいかもしれない。楽しみ。
僕は、肩を寄せ合って仲良く授業を受けた事に大満足だったが、その後近くに来たジルに、
「花出し過ぎ!黒板が見えなかったぞ」
と言われてしまった。ゴメンナサイ。
ジーヤやアカリナも来て、今はランチタイムだ。僕やアカリナのランチは、いつもジーヤの豪華弁当だ。この頃はジルやミオやユーノさんの分までジーヤが作ってきて、皆で一緒に食べている。
「ジーヤさん美味しいです!」
ミオがもぐもぐしながら幸せそうに言う。
「うまっ!」
「ジーヤさんさすが…年の差なんて気にしない」
ジーヤは微笑ましいと言う顔で皆を見渡していたが、ふと、何かが気になったように窓の外―空を見た。
「大変です!クリストファー王子、屋上にすぐに来てください!」
とウエノ先生が教室に飛び込んできたのは、それからしばらくしてからだった。
お昼休みの生徒達が自由にザワザワしている中で、急に緊張感が走る。
何かあったのか。でも何故屋上?
僕は、階段を駆け登る。一緒にいたミオもジルもアカリナもジーヤもついてきている。ウエノ先生に続いて、普段は鍵の掛かっている屋上の扉をくぐる。
「―兄上…」
そこには、姫を連れた綺麗なヒョウと、金と銀の狼、そして動物や妖精達が降り立っていた。




