学園(ミオ)3
ムサシさんの声が窓の外からした直後、突然フッとサユリさんが隣に現れて横から空を掴んだ。
ん?さっき向こうで王子たちと話していたと思ったのに、いつの間に近くに来た?瞬間移動?とドキドキする。そして至近距離からサユリさんを見る。綺麗で可憐な横顔。小柄で華奢な儚げな美少女だ。こんな綺麗な人が王子の周りには今までもこれからも沢山いるんだろう。さっきの気持ちを思い出してちょっと切なくなる。
ふと、サユリさんがこちらを見る。至近距離で見つめ合ってしまって、急に恥ずかしくなる。ああー。ジロジロ見てごめんなさいと思っていると、サユリさんは嬉しそうに目を細め、ニコッと笑ってくれた。
「ムサシがご迷惑お掛けしてすみません。」
ん?知り合い?
「えっ、いえいえ。逆に助けてもらったりしてます。」
「あら、それならよろしいんですが。」
「ッ、痛たっ!もう手ェ離せよ!」
さっき空を掴んだサユリさんの左手に、窓枠に座ったムサシさんの耳が掴まれている。
「逃げようとするからじゃ。」
じゃ?
「ちょっと隠れただけじゃんか。それより何だよそれ!可愛すぎてキモいよばあちゃん!」
「あら、おほほ。私の名前はサユリ・バーチですの。バーチでバーちゃん。うん。可愛い。」
ムサシさん何か投げて煙を出したりしているが可愛く微笑んだサユリ・バーちゃんさんの手からは逃れられなかった。すごい。あのムサシさんを子犬のようにあしらっている。
やはり大物感ハンパない。
ビックリして見ていると、クリストファー王子が二人を見てクスクス笑いながら近くに来た。今日も輝くような笑顔だ。グレーの髪に優しい緑の眼差しに、ちょっと胸が痛くなる。困った。重症化してる。
「ミオ。昨日は、ゆっくり眠れた?」
「はい。昨夜は途中で寝ちゃって…ごめんなさい。」
ガタン!と後ろで音がした。
振り返ると立ち上がって硬直したジルが目を見開いてこっちを見ていた。




