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学園(ミオ)2

 サユリさんは、クラスの中に入ってくると、ふと困ったように微笑みを浮かべた。大人しそうな儚げな美少女の様子に、なんだか自分が守ってあげなきゃという気持ちになる。と、その他大勢もそう思っているらしい。うちのクラスの男子も骨抜き決定だ。


「あ、ごめんなさい。クラス間違えちゃって。」


 か細くてでも張りのある綺麗な声。ずっと聞いていたい。何なら一曲歌ってほしい。とか妄想していると、男子達がわらわらと寄っていって、


「全然構わないですよ。」

「隣りのクラスまで迷わないように送りますよ。」

「なんならここを第2の故郷と思ってくれていいですよ。」

「俺の事はお兄ちゃんと呼んでくれていいからね。」


 と、訳のわからない事を言っている。ホントに男子達残念すぎる。でも気持ちはわかる。声を掛けられるようになっただけエライ。


 控えめにニコッとして、

「ありがとう。お邪魔しました。」

と、出て行こうとするサユリさんに、アカリナさんが、ハッとして声を掛ける。


「あ、も、もしかして、もしかして…!」


 サユリさんが振り返る。

「やっと、気づいたかの。」

―かの?


 そのとたんアカリナさんはサユリさんに駆け寄り、ガバリと抱きつくと、

「お久しゅうございますーー!」

と、何と泣き出してしまった。しかも途中から子どもの様にしゃくりあげ始め、わんわん泣いた。

 サユリさんは優しく背中を撫でながら、苦笑いで「変わってないねぇ。」

と呟いた。


 全く状況が解らないながらも、なぜかもらい泣きを始めた女子が何人かいて、つられて目を赤くして涙を耐える男子もチラホラいる。ジルの目も赤い。幼い頃別れた親戚とか幼馴染とかだろうか。私も何だかうるっとしてしまう。


 しばらく泣いた後、やっと落ち着いたアカリナさんは王子とジーヤさんの所にサユリさんを連れて行って何か話していた。

 王子も知り合いだったらしく、2、3言話した後、バッと姿勢を正すと、礼儀正しく何かお礼を言っている様子だった。なんだかわからないけど、可憐なサユリさんの大物感が半端ない。

 途中、「修行」とか「里」とか「術」とかチラッと聞こえてきた。

 

 皆がサユリさんを囲んで夢中になっているように見える。

 いつも冷静なジーヤさんまで瞳を輝かせて

「魔法無しでどうやってそこまで!」

と前のめりになっている。

 王子も目を見張り…優しく笑いながら可憐な少女を見つめていた。さっきからずっと。


 おかしい。何だかまたモヤモヤしてきた。それから寂しくなってきて、目を逸らした。

 

 やっぱり、そうだよね。


 王子様だもん。よりどりみどりだ。解っていた事だ。それでも一緒にいて優しい言葉を沢山もらって欲張りになっていたのかもしれない。勘違いしそうだった自分を戒める。

 一度目の恋で、あんなに痛い思いをしたのにまた繰り返そうとしてたなんて。

 ぼんやりした性格だとよく言われるけど、ほんとにどうかしてる。


 気分を変えようと窓の外を見る。ユーノが、そっと近くに来た。


「大丈夫?泣きそうな顔してるよ。」


「…ホントに?自分のバカさ加減に情けなくなってただけ。」


「そうなの?」


「今、反省したから。これからもっと身をわきまえる。」


「え、そんな必要…」


「そうだぜ。必要ないさ。」

急に窓の外から声がしてビックリした。

 ムサシさん?ここ3階ですが。


 

 


 


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