君と僕の事(クリストファー)2
転入して何日か目、この頃僕は、ちょっと困ってるんだ。
ずっと探していたミオを見つけて、かなり浮かれていた僕は、ミオも僕と同じ気持ちかなって思っていたんだ。
びっくりしたり、赤くなったり、挙動不振だったりするミオが可愛くて、つやつやした柔らかい黒髪をなでなでしたくなる。
それで、気持ちのままになでなでしてみたんだけど、ミオは逆撫でされた猫みたいに急に立ち上がると、ザザッと後ずさり、そのまま固まってしまった。
ちょうど授業中だったので、ウエノ先生に、
「はい、ミオさんじゃあ答えをどうぞ。」
と当てられてしまったミオは、真っ赤な顔でプルプルしていた。可愛い。じゃなくて、なんだかごめん。
でも、何がいけないんだろ。
旅の前、城にいた頃は、貴族のご令嬢はこぞって僕と話したがったし、仲良くなりたいオーラが凄かった。ベタベタされるのは嫌だったから、うまくかわしてたんだけど…ミオも嫌なのかな。
兄さん達みたいに、運命の人を見つけたら、すぐに連れ帰って見せびらかしたかったんだけど。
一番上の兄が連れて来たのは、遠方の国の姫だった。綺麗なヒョウだった兄が助けた雌のヒョウが、姫のペットだったらしい。
姫は動物と話が通じ、使役としても使っていたそうだ。兄の行動が、国家に関わる事件を解決するきっかけになり、また姫が兄と心を通じ合わせた事で、愛情センサーが作動した。兄の魂も姫が使役する動物達が見つけてきたと、話してくれた。
…腕を組み、見つめ合う二人がとても眩しくて、…いつも厳しい表情をしていた兄が柔らかい笑顔を浮かべているのを見て、自分もいつか誰かとそうであるようにと願った。
二番目の兄が連れて来たのは、何と妖精だった。銀の狼になっていた兄は、魂を求めている内に知らず妖精の国に入っていた。妖精の国は、争いなく何千年と隠され守られてきたが、まさに侵略されるかされないかの攻防が続く最中だった。妖精の王は金の狼の姿で闘っていた。しかし争いに慣れていない王は力尽きかけ、そして兄は銀の狼の姿で守るように闘ったそうだ。
小さい頃からやんちゃでカッコイイ兄だった。今は凛々しく逞しい。やっつけまくっている姿が目に浮かぶ。
兄のおかげで妖精の国を守りきった金の狼は、人型に戻ると女性だったそうだ。何それカッコイイ。静養後に兄と共に魂を探しに出かけ、すぐに見つかったそうだ。そして愛情センサー作動。クリア。
…兄に寄り添う美女は、見事な金髪だった。凛々しく神々しいのに、兄を見上げて微笑むと急にあどけなさが見えて、兄が得意げに、でもちょっと耳を赤くして、笑った。
…兄上カッコイイ。僕もいつか誰かを全力で守ると誓った。
だから、ミオを大事にしたいんだけど。ミオの幸せって何だろう。嫌がる事をしたり、困らせたりしたい訳じゃないんだ。
ミオの喜ぶ事って何だろう。
―ジルに聞いてみようかな。




