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なんか訳わかんないの出てきた(内田)  エマちゃん、ハンパないってぇーーーーー!

 家を出る前に、エマから紙切れを渡された。そこには、魔方陣のようなデザインが描かれていた。

「コレ、ヒロキノ トコロニ 行ッタラ 地面ニ 描イテ、ソノ中ニ タヌキヲ 移動サセテ オマエモ入ットケ。」

エマは、クローゼットの奥から古めかしい箱を出してきた。

あれあれっ、俺のクローゼット、いつの間にかエマの私物だらけだ…。

 えぇ~っとぉ~、俺の子供の頃の宝物だったおもちゃたちはいずこへ~?

 全巻揃えた各種マンガシリーズはいずこへ~?

 そしてそして!これだけは白日の下に晒す訳にはいかない俺の黒歴史!中学時代のポエム!

 どこ、どこ~?どこなのさー???

怯えるような目でエマを見ると、エマは無言で俺の肩を抱き、床下収納を開けて見せた。

「ありがとうぅぅぅ…。」

ちゃんと保管していてくれたエマに涙目でお礼を言った。

 ん!

 お礼って、ここ俺んちだよね???

 しかも床下収納ってぇー!


古めかしい箱の中から年代物の鞘に収められた刀が出てきた。エマは背中のホルダーベルトに刀を固定して、体のいろんな部分に武器を装着した。

「内田、行クゾ!」

「は、はい~!」

俺とエマは居酒屋ぽんぽこに向かって走った。


 居酒屋ぽんぽこに来ると、ヒロキさんが男から刺されていた! 

「あーーーー! あーーーーーーーー! ヒロキさんーーー! 今助けます!警察!警察っ!」

俺が取り乱しているとエマから引っ張られた。

「オマエト警察ガ カナウ相手ジャナイ。ハヤク魔方陣ヲ描イテ!」

エマはそういうと、腰に携えていた木刀を男に向かって投げた。木刀は命中した。

「さすが俺のエマちゃん。」」

涙と鼻水でグズグズになってしまった。


 エマの言う通りにするしかない!俺は急いで持ってきたチョークで円陣を描いた。デザイナー魂が炸裂して、我ながら素晴らしい出来だ! ハッ!デザインの出来にウットリしている場合じゃない!タヌキを運ばなければ! 

 お、重―――! 

チラリとエマの方を見ると、ヌンチャクで男と戦っている! 

 カ、カッケーーー! 

よし!俺もがんばるぞ! 

普段重いものなど持たない俺だが、火事場のクソ力でタヌキの置物を引きずって移動した。。ふらふらしながらも、なんとか魔方陣の中へ運びこんだ。よし! 次はヒロキさん! 俺はヒロキさんの元へ行ってヒロキさんの腕を肩へ回し体を支えながら移動させた。

「ヒロキさん、大丈夫ですか? よかった、間に合って。」

俺は息を切らしながら言った。

「これ、何?」

ヒロキさんは円形の模様の事を聞いた。

「自分もよくわからないんスけど、エマがやれって…。」

俺がそう言った時、エマが円の中に滑り込んできた。

エマは、悪霊の力が強すぎて敵わないとヒロキさんに言った。

ここに来る準備をしているときにエマは言っていた。男にとりついている悪霊は、一体どころじゃなく、何十体、何百体といるそうだ。その中心に元になった怨霊がいて、その怨霊にトドメを刺すと、他はちりぢりになると言うのだが、その怨霊は一番奥にいて手を出せないらしい。表に出てくるのを退治しても、後から後から他の悪霊が出てくるので埒が明かない。

エマから何かいろいろ聞いていたヒロキさんは、しばらく考え込んで立ち上がった。

「わかった! 俺やるよ!」

そう言って魔法陣から飛び出して行ってしまった。

ヒロキさんは男に飛び掛り、うまく影を誘い出すことに成功した。そしてそのまま影の中に飛び込んでいってしまった。

エマは手を震わせながら歯をくいしばって影の方を見ている。


エマは言っていた。


 悪霊を弾き飛ばすほどの…

 強い…

 ポジティブな…

 威厳がある…

 大勢の…

 圧倒的な波長…


 そうか!


俺は閃いた! ケータイを取り出し、祈るような気持ちで番号を押した。

お願いします! 出てください! 出てください! 出てーーー!

その時その人はケータイに出てくれた。

「はい、もしもし………わかった。すぐ駆けつける!」



 しばらくしてその人はやって来てくれた。

大勢のセレブの仲間を連れて!

中には業界紙に登場するような有名人まで!


「内田くーん! 大丈夫かー? 助けに来たぞー!」


 藤堂社長、ありがとうございます!


社長たちエグゼクティブメンバーは、今日もきらびやかに美しく女装し、着飾っている。ヘアメイクもネイルもコーティネイトも完璧だ!

「社長!うづぐじいですぅぅぅ~!」

これが一流人の仕事ってやつかぁぁぁぁぁーーーーー!


 俺は感極まり号泣した。


藤堂社長たちエグゼクティブ女装軍団が近づくと、その超ポジティブなオーラのせいか、悪霊の影が爆発して吹き飛んだ。そしてヒロキさんが光るものを抱えて走ってきた。その後ろからヒロキさんに襲い掛かる、ざんばら髪のオバケ屋敷にいる幽霊のような女が見えた。その瞬間、エマが二人の方に走っていって飛び上がったかと思うと、背中に携えていた剣を抜き取って女を切った。女はちりぢりになって地面に吸い込まれて消えてしまった。



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