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忍び寄る悪魔(内田)  あれ? タヌ子さん?

 ドイツ人は、食後によく散歩をするらしい。エマと付き合うようになってから、食後によく二人で家の近所を散歩するようになった。空腹時のエマは、獰猛な肉食獣のようにイライラしているが、食事が終わった後は満腹で幸せなのか、女の子っぽく甘えてきたりする。このツンデレのデレが見たくて、しょっちゅう何か食べさせようとしてしまうのだが、やりすぎると、

「キサマ、私ヲ ヒャッカンデブニ シタインカー!」

と、ぶち回されてしまうので、気をつけなくてはいけない…。

 

 夜風に誘われて、今日は少し遠くまで歩いてきてしまった。エマがデレ状態で、手をつないで頭を俺の肩にもたれているせいかもしれない。人気の無い寂しい感じのところまで来てしまったので、そろそろ引き返そうかと思っていたら、前方に見たことがあるような人影があった。キャリーバッグを引っ張った女の人。

 あれ?

 もしかして、タヌ子さん?

タヌ子さんらしき人の前にもう一人誰かいた。男のようだったので、ヒロキさんかなと思い、挨拶をしに行こうかと思ったその時!


 男は両腕を上げて、それは見たことも無いような大きな腕で、タヌ子さんらしき人のお腹を思いっきり殴った。俺もエマもビックリして体が固まってしまった。男はタヌ子さんらしき人を殴ったように見えたが、その後少し様子がおかしくて、腹のあたりで手をぐるぐる回しているように見えた。女の人はうめき声をあげていた。目を凝らして見たら、男の手は信じられないことに、女の人の体の中に入って掻き回している!!! 

 た、助けなければっ!!!

 俺がそう思った瞬間エマはポケットに入れていたスマホを取り出し、スマホケースの横の部分についている四つの穴に指を入れて拳を構え、二人に向かって猛ダッシュして行った。キーホルダーかなんかを付ける穴なのかなぁ~なんて思っていたスマホケースは、カイザーナックルだった!

 エマ!キミ何者なの?

「キサーン、コノ、ボテクリコカッソー(注・おまえボコボコにするぞ、の某九州弁)」

エマは男に向かって走りながら叫び声をあげている。

 いかん、女の子たちを危険な目に合わす訳にはいかない!

 俺が戦うぞー!

 俺はやけくそになって走って行った。男は俺たちに気付いて走り去ってしまった。しばらく後を追ったが逃げられてしまった。後ろでエマが俺を呼んでいる。すぐさまエマと女の人の元へ戻ると、タヌ子さんが倒れていた。

「タヌ子さんっ!タヌ子さんっ!」

呼んでもタヌ子さんはグッタリしてうめき声をあげるだけだった。

「救急車!救急車を呼ぼう!あ!ヒロキさんに連絡が先か?」

俺があたふたスマホを探そうとしていたら、タヌ子さんが目を薄っすら開けた。

「ウッチー、大丈夫だから、ウッチーの家に連れて行ってもらえないかな?」

俺は病院に行った方がいいんじゃないかと心配だったが、タヌ子さんがどうしてもというので、エマと二人でタヌ子さんを抱えあげてタクシーでうちへ向かった。

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