プロローグ
ふぅ、あそこが村長の家か、さっさと済ませるとしよう。
あ、えっとですね、
これくらいで借りれる家って・・・
あ、これですか?なかなかいいですね、
じゃあここ買います
はい、後日に、えぇはい、お願いします。
ところであのお祭りはなんですか?
なるほど、マッシュの
シチューやステーキでお祝いですか
何のお祝いですか?
え、さっき私がマッシュを倒したお祝い?
私が主役の祭りですって?まいったなぁ
それじゃあちょっとだけいただきます
【スイの森】
黒騎士「なぜ、なぜこんな・・・・」
漆黒の鎧を身にまとった男は呟いた
肩に乗せた幼女に兜を叩かれながら
黒騎士「だぁもう!
やめろっつってんのっ!」
幼女「キャハハッ!
だって面白い音がするもん
やめない!」
黒騎士「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛っ!」
昼下がりの森に
幼女の笑い声と男の叫び声がこだました。
通りすがりの狩人がその声を聞いて書いた絵本
「森の祟り」が
ベストセラーになり
それをきっかけに絵描きに転職、
のちに王国に
大図書館を作ったのはまた別の話
~数日前~
【魔王城内 玉座の間】
いろいろ小さい少女が玉座にすわり
退屈そうに足を揺らしている
彼女が魔王である
魔王「おそい・・・・
おっそぉぉおおおおい!」
ひじ掛けを強く叩いて立ち上がり
玉座の横で待機している
執事アンデットに命令した
魔王「おいおまえ!エル・・・
じゃなくて黒騎士!
黒騎士をつれてきなさい!」
執事アンデット「ヴァーーー」
脳が腐っているアンデットに
呪術無しで命令が通るはずもなく
執事アンデットはただ口から
いろいろたらしているだけだった
魔王「ヴァーーー、じゃないでしょうが!
めいれいよ、め・い・れ・い!
黒騎士をさがしてきなさい
っていってんのぉ!」
(コンコン、と二回ノックが鳴り響く)
アンデット「ゥゥオアァァア・・・」
魔王「ヴァーーー
じゃなきゃいいって
もんだいじゃねぇよ!
さがしてこいっつってんのぉ!」
執事アンデットは依然
口からいろいろたらしているだけである
(玉座の間の扉が開けられ
何かが侵入する)
魔王「あぁぁぁぁはらたつぅ!」
黒騎士「ゴホンゴホン」
合図のような咳払いが玉座の間に響く
魔王「うっさいわねぇ!
いまいそがしいの!」
黒騎士 (えぇ・・・・・・)
魔王は黒騎士のほうをちっとも見ないで
アンデットに向かって説教をはじめた
魔王「・・・だいたいあんたは
アンデットであるまえに
しつじでしょうが!
じぶんのしごとを(ブツブツ)」
~数分後~
魔王「で、あるからして
わたしのめいれいは
ぜったいであってー・・・」
ここで初めて魔王は
黒騎士の存在を認識した
黒騎士は黙って会釈をした
魔王「あれ、いつから・・・・
じゃなくてえっと
あぁ、あぁぁぁっ///」
魔王は顔を真っ赤にしてしゃがみこんだ
それを見て黒騎士は
玉座の間を静かにでていった
~数秒後~
【魔王城 玉座の間】
コンコン、と扉を叩く音が鳴り響く
魔王「入ってよいぞ」
黒騎士「失礼します」
玉座には一人の少女が座っていた
彼女が魔王である
黒騎士は魔王の前まできてひざまずいた
黒騎士「魔王側近兼、偵察部隊隊長兼、
食料調達班長兼、魔王世話係兼、
城内掃除担当兼、
アンデット管理長兼、
浴室担当兼、遊戯担当の
黒騎士エルス=ザルディン
只今偵察よりもどりました。」
魔王「Zzz....」
黒騎士「魔王さ・・・」
魔王 (ビクッ)
「え、あ、聞いていたわよ、
そ、それで?」
冷静を装っているが
あきらかに焦っている
黒騎士「偵察先のユル村ですが
非常に小規模な村でした
人口も少なめで
村の畑の作物や
近隣の森での狩猟
などで食料を
調達しているようです
私が偵察中に討伐した
低級のキノコモンスター
【マッシュ】の素材で
キノコ祭りを開いて
祝ってくれたり
なかなか明るい村です」
魔王「おまつり?!」
太陽のような笑顔で玉座から飛びあがった
黒騎士「えっ」
魔王「あっ」
魔王はふぅっと息を吐くと
玉座に座りなおした
顔が真っ赤なままである
魔王「すまかったわね、報告の続きを」
魔王はおまつりが気になるのか
そわそわして何度も座りなおしている
黒騎士「村人たちは友好的で
目立った争いや村人同士での
もめごとなども
ありませんでした」
魔王「ふむ」
黒騎士「村の中には小規模ですが
学び舎があり
その他にも図書館、花屋、
パン屋、肉屋などがありました
田舎村にしてはなかなか
安定した村だと思われます」
黒騎士「それで・・・・」
魔王「それで・・・・・?」
魔王は息ををのんだ
黒騎士は大きな声で
黒騎士「ありました、格安物件!」
魔王は静かに立ち上がり
そのまま拳を天にかざした
いやぁ、美味しかった。ごちそうさま。
マッシュってこんなに美味しいんですね。
それでは私はこの辺で失礼しますね。
え?お土産ですか?それもこんなに?
いいんですか、ありがとうございます。
えぇ、すぐ近くなので大丈夫です、はい。
それではまた来ますね。