-09- 『Boy meets Girl』
お待たせしました
俺――いや、僕は追われていた。
……だからどうしたって言われたら非常に困るんだけどさ。
鬱蒼と茂る森は先へと進む度にその密度を増し、気付けば夕方の曇天以上に暗さを増しているように感じる程だ。
トロールっぽい毛むくじゃらの巨人との戦闘によって、装備は殆どガタガタだし消耗品であるポーションも残りが心許ない。
高品質が1つに低品質が4つの総数5個。
大体回復量にして僕のHPの200パーセント分くらいだろうか。
ポーションは品質によって結構値段に幅があり、良いポーションほど単価のコストが高い。
携行性が良くなり、ポーションを使用する時間も短縮できるなど利点があるからだ。
だから最後の一本である高品質ヒーリングポーションには出来れば手を出したくないのだ。
あれはカラーって言う僕と同じぐらいの頃に始めた初心者生産プレイヤーが――
「フゴォォォ!」
「あぁもう! しつこいなお前は! こっちに来るんじゃねぇ!」
そう、僕は追われているのだ。
このイノシシっぽいモンスターにかれこれ30分ほど。
リアルの人間ならスタミナ切れで不可能でも、この世界のアバターのスペックは高いのでプロのマラソン選手も真っ青になるレベルのハイスピード逃避行だ。
……本当に逃げたいのはこの森の中という状況からで、僕はこの森の中を迷っていた。
やはりもう少し慎重に動くべきだった。
何故かあの時にビビッと来て森の中に衝動的に足を踏み入れてしまったのだが、今になって考えてみればあれは刀を買って浮かれていたからだろう。
調子に乗ってノープランで強敵との戦闘の予感に期待して、そう、トロールっぽいのと戦って苦戦の末勝利したまでは結果的には幸運だったのだ、何だかんだと言いつつも勝利した。
しかし、勝った後に気付いてしまう自分の立場……森の中を臭いを辿って進んできた自分は、帰る道の見当が全くつかなかったのだ。
コンパスも無ければ地図も無い。
そう、このVRゲームにはミニマップなどが基本機能として存在しないと言う面倒な仕様なのだ。
一応はスキルなどでそれらに該当するものを手に入れられるのだが、生憎と僕はまだスキルに関しては一切手を付けていない。 冒険者としてこの世界で活躍することを目指しているプレイヤーにとって、自らの才能を覚醒させる行為と言っても良いのがスキルを取得することだ。
剣豪になること、大魔導士になること、三ツ星のシェフになることも、この世界ならば努力さえ積み上げれば必ず達成できる……そんなステータスを与えてくれるのだ。
VRゲームの懐の広いところはシステムでそう言ったアシストを貰えるが、無理にシステムに頼らなくても良いと言う点だろう。
例えば、この世界でひたすら武術の稽古に励む様なプレイヤーも居るらしい。
そしてそれを、ファンタジーの世界のモンスター相手に試してみたいってプレイヤーは、割と少なくないそうなのだ。 僕にはその気持ちがちょっと分かるなぁ。
「フゴォォォ!」
……っと、意識が逸れた。
とにかく、僕はそういうゲームのプレイングをサポートする類の効果を持つスキルを含めて全てのスキルを一切取得していない。
最初のキャラメイクの時にカスタマイズ項目で外してから今まで、何となくずっと取得しないまま遊んできたので今更付けるのも……なんて思っていたら、機会を喪失して今に至る訳だ。
正直言って、僕は大分このゲームを舐めていたのだと思う。
VRゲームを始めてそこそこになるが、ひたすら最初の街周辺をうろついていただけの自分は本当の意味でこの世界の広さを理解していなかった。
ソロプレイで粋がっていたのも良くないな。
他人との交流を怠っていたから情報が不足していたのだ……攻略サイトは個人的にはMMO系のネトゲでは利用したくないって理由もあって意識的に避けていたのも現状を招いた原因だろう。
あまりにも戦闘にばかり意識が傾倒していて、地形の把握だとか、それこそソロプレイを極めるつもりで居たのならばサポート系スキルを完備するぐらいすれば良かったのに、僕はひたすらVR世界での肉体を鍛えることに没頭してしまった。
おかげで戦闘以外がからっきしだったことに今更になって気付いたのだ。
「フゴォォォ!」
正直、アバターの操作は苦ではないが、現実的な問題としてコンディションの悪化が無視できなくなってきていた。
このゲームで言うコンディションとは主にHP、MP、スタミナとざっくりした数字を意味している。
HPは冒険者の命であり0になると死んでしまい、リスポーン拠点に設定した場所で蘇生される。
MPはアーツや魔法に消費するエネルギーで気合やマナみたいなもの……精神力のキャパシティと訳すのが正しいかもしれない。
スタミナは通称『満腹度』と呼ばれている。 宿屋に泊ったり、食事をすることなどで回復する数値で、フィールドに出て行動していると徐々に減少していくのだが、戦闘などの激しいアクションを行うとさらに減る速度が早くなる。
そう、つまり今こうして全力疾走をしていると凄い勢いで減っているのだ。
携帯食料を食べることで急場をしのぎながら走り続けているが……正直もう限界だ。
口の中が携帯食料のせいでかなりパサパサするし、食べ過ぎで気分も悪くなってきたからだ。
これ以上、この質の悪いパイ生地のような保存食は食べていられない。
何より――
「フゴォォォ!」
「うるせぇよ豚野郎!」
この延々追っかけて来るモンスターの鳴き声が癪に障って仕方がないのだ。
空腹で人はイライラすると言うが、満腹でもイライラできると初めて知った。
正直、あまり気乗りはしないが是非も無し。
腰から刀を抜き放つと振り向きざまに一閃を放つ!
「ピギィィィ!」
げ、適当に振り抜いた一撃だったが予想以上に手応えが良い癖に、モンスターは怯んだ割にはそれほど堪えた様子が無い。
やっぱり、HPが平原の雑魚と比べると格段に増えているようだ。
元々パーティ前提で作られているバランスだろうから、一発二発の攻撃ではそうそう簡単には仕留められないのだろう。
装備の耐久値に不安がある今は交戦を避けておきたかったのだが、このまま延々とスタミナ切れまでトレイン――モンスターを引き連れて逃げる行為を言う――するのは飽き飽きしていたのだ。
「決めた! ここでお前を仕留めてや……る……?」
「ピギィィィ!」
覚悟を決めて得物を構えた僕を無視して、イノシシは悲鳴を上げながら僕の脇をそのまま逸れて森の奥へと走り去ろうとしていた。
「今まで散々追い回しておいて、それは無いだろう! 許さん、絶対に仕留める!」
流石に普段は温厚な自分でも、今はとにかくむしゃくしゃしていた。
この憤りの全てをぶつける相手に逃げられたら、感情を逃がす方法を失ってしまうじゃないか!
追われていた僕は一転して、イノシシのモンスターを追う事にした。
自分でも馬鹿じゃないかと思うんだが、そんな下らない事でもしていないと精神的に限界を感じるぐらいに森を黙々と歩いていたのだ。 今更一人で孤独にあての無い旅路に戻り、この暗い森を彷徨う事は想像するだけで辟易としてしまう。
あんなモンスターでも、居なくなると言う事に対して寂しさを感じていたと言えるかもしれない。
森ってヤバイ。 超ヤバイは。
しばらく逃げるモンスターを追いかけていると、不意に複数の視線を感じた様な気がした。
VR世界で感じる視線って今一つシステム的に何を判断しているのか分からないし、ただの気のせいなのかもしれないとは思うんだけど、何となく近くに人っぽい気配がするのだ。
そうこうしている内に、何事かを叫びあっている二つの声が聞こえてきた。
……これは、もしかしてチャンスでは!?
他のプレイヤーが居るって事は、助けを乞えば街の方角について教えてくれるかもしれない!
うぉぉ、何だかわからないけど猛烈に胸の奥に込み上げてくる感情が……!
目の前を走るモンスターが、今では幸運を導く幸せのイノシシにすら見えてきた。
「誰だ!」
ビリッとした空気を弾くような一喝と共に、気迫がこちらに向けられる。
モンスターからの敵意のようなそれに、僕の身体は無意識に動いていた。
近くの草むらに滑り込んで隠れると同時に、先行していたモンスターが全身を硬直させたかと思うとゆっくりと地面に倒れ伏した。
額にはナイフが突き刺さっているので、どうやらさっきの声の主がやったようだな……あれ、もしかして今のって僕が先行して逃げている状態だったら刺さってたのって?
「ケッ、雑魚が驚かせやがって……」
ピリピリとした雰囲気を発した男はぎらついた目をしていた。
何だろう、あの蛇のような印象の男がすっげぇ形相で睨んでいるのは……女の子?
男の手には投げナイフ、女の子の頬の隣や脇、股の間にも投げナイフ。
ナンパにしてはあまりにも色気のないシーンだ。
いや、女の子の方には色気あるよ……むしろ結構好みのタイプかも。
顔立ちはキリッとしてると言うか目鼻立ちがハッキリしてるけど、フェイスラインが緩やかなので和美人っぽい感じだろうか。 着物とかとても似合いそう。
そう言う意味では髪は残念ながら黒ではないが、銀糸のような艶やかなプラチナブロンドだ。
ネトゲ女性キャラで最も多い髪の色の一つじゃないかと言われているカラーリングだな……あーでも、意外とVRゲームでは見てないような? 金髪はリアルでも染めてる人が居るからか多い。
装備は一目見ても分かるのだが、自分のものと比べても格段に上物だろう。
装備は機動力重視の軽戦士系といった感じだが、曲線が主張する胸甲の上に迷彩柄の厚手のジャケットを羽織っており、脚のラインにフィットした微かな光沢のある黒いタイトパンツに革製のロングブーツと、機能性とデザイン性を両立させたコーディネイトがとっても格好良い。
紅い瞳には意志の強そうな光が宿っていてるが、今は本来の輝きを失っているような気がする。
引きつった表情も相まって、まさに「追い詰められた女冒険者」のような――いや、どう見てもこの状況はそのもだろう!?
そう言えば、リリアさんがPKもこのゲームには居るとか聞いていたけど……あ、いかんな、男の方の剣呑な雰囲気は確実にロクでもない奴だ。
そう確信した次の瞬間、気付けば身体は勝手に草むらから飛び出していた。
体感的にはずいぶん長い時間状況を観察していたような気分だったが、視界の端では丁度今モンスターの死体が全て燐光になって消失したところなので、隠れていた時間はそれ程でも無い。
僕を見る男の目つきは相変わらず陰惨だが、闖入者の登場で戸惑いがあるようだ。
……まさかただの男女の地上の縺れや、特殊プレイの可能性もあるのか?
とりあえず、まずは様子を見るために話しかけてみるか。
「あちゃー、まーた逃がしちゃったか。 あ、取り込み中すいません、そこのブルを追ってたものですが皆さん怪我はありませんか?」
務めて明るく、むしろ友人のように親しみを込めて二人に声を掛ける。
女の子の方はぽかんとした表情で、男の方は少し警戒心が強まったような気がする。
とりあえず、こちらはまだこれと言って身構えない。
自然体に見えるように片手で刀を収めつつ、無害をアピールするが――
「おわっ!? あ、あぶねー!」
急な男の攻撃を間一髪で回避する。
ただ握手でもするように友好的な態度で近寄っただけなのに、手に刀を下げてるからっていきなり切りかかってくるなんてやっぱこの男の方はやべぇよ!
「……てめぇ、何もんだ?」
「だから、そこのブルを追いかけてた冒険者ですって。 そっちこそ、そこの可愛い子とこんな森の奥で何を……え、あれ、もしかしてそんなタイミングでした? うわ、本当にごめんなさい!」
まずは下手に出て様子を窺う。
もしかしたら、本当にそういうプレイが好きなプレイヤーたちなのかもしれんし。
そうでなければすぐに反応があるだろうと思って、だ。
男の方は上も下も黒で、バンダナすら黒とまっくろくろ太郎なのでノーコメント。
ただ分かるのは、抜身のナイフのようなアゴと、実際に抜き放たれている両手のナイフが危険極まりないと言う事か。 視線は動かさず意識だけは向けて置く。
「いやぁ、本当に困っちゃうなぁ。 まぁ、大事にならなくて良かったですよ!
そこのブルは俺が仕留めておいたけど、君に上げるからさっさと帰って欲しいなぁ」
「良いんですか!? ははは、本当にご迷惑をお掛けしました……」
意外なことに、男はぱっと顔を明るくするとさっきまでの剣呑な雰囲気をすっかり掻き消して、友好的な笑みで僕に仕留めたモンスターの素材をくれると言う。
いやいや、それは流石に怪し過ぎるだろう……これは拾う際にざっくり首を落とすつもりか?
まぁ、既に自分の考えは纏まっている。
女の子が襲われていると断定して男を敵と見て行動する。
間違っていたら謝るなりなます切りにされるなりすればいいだろ。
別に一回PKされるくらい何てことないし……トロールを倒してもLv5になっていない今ならデスペナルティは無い筈だ。 いやぁ、命が軽いってのは良いことだな。
ボコボコにされたら痛いとは思うけどさ。
……それに、追い詰められてる彼女の悔しそうな表情は、赤の他人に恥ずかしい格好を見られて恥ずかしがっているような表情では無いと思う。
もしかしたら俺が一目見ただけでも分かる生理的に受け付けられないタイプで、そんな最低な相手に恥ずかしいシーンを意図せず目撃されて吐きそうになっているなら納得できるが。
それで喜ぶのは僕じゃなくてマゾ気質のあるオタ友の三宅くらいだよ。
「……ところで、そこの蛇目のおっさん」
とりあえず、あれだ。 うだうだ考えてても埒は空かない。
「んー、何かね?」
「あんた、悪者だな」
宣戦布告を投げつけると同時に踏み込み、腰の剣を抜き放ちながら水平に振り抜く!
一度やって見たかったので練習していた抜刀術スタイル!
あ、くそっ! 良い動きで受け流しやがった!
完全に不意を……宣戦布告しといて不意打ちも何もないか。
でもなぁ、流石に確信が無くて言い掛かりだから一言はかけておくべきかと思ったんだよな。
「て、てめぇ……いきなり何しやがる!」
ドスの利いた声とバチバチのメンチ……いいねぇ、実に分かり易いわ。
これはもう確信した。 こういう手合いは皆似た様な雰囲気だから間違いようが無いわ。
だったら、こっちとしてもやることをやっておこうじゃないの。
「女を泣かせてる屑が! 粋がってんじゃねぇ!」
気合一発、大上段に振りかぶっての突撃。
一足一刀の間合いより少し遠い場所に下がられていたので、こちらの事前のモーションは丸見えだ。 当然相手も手にした短剣を交差して受けて止めようとするよなぁ……だが軽い!
装備の質もスキルやレベルも、トータルの戦力は相手の方が上で、実際にこちらの上段は完全に軌道を塞がれていた。 そのまま受け止められればカウンターでバッサリやられそうていたかもしれないが、暗殺者っぽい見た目通り素早さに特化したステータスだったのだろう、こちらの筋力の前では完全に受け止めることは敵わなかったようだ。
それでも、咄嗟に交差した得物を弾く様にして斬撃の軌道を逸らされたのは凄い。
浅く顔から胸にかけて一筋の赤いダメージ痕は入ったが、まだまだ致命傷には遠いな。
それでも、蛇目の男は脱兎のごとく……むしろ、逃走を図るエビの如くズダダッと勢いよく後方に退避してしまいまんまと間合いを取られてしまう。
いやぁ、この悪路だらけの森であんなに軽やかに、素早く後退って出来るもんなんだな。
「ガハッ……嘘、だろ……」
男は心底目を見開いて、そのままスゥッと森の闇に溶けてしまう。
盗賊とか狩人、暗殺者系のスキルかと思って警戒するが……どうやら、周囲にはそれらしい感覚は無いのようだ、刀を収め――あれ?
刀を使っていたと思ったが無意識に手に馴染んだロングソードを抜いていたようだ……もしかして、衝撃力に優れたロングソードじゃないと勝てていなかった可能性があるかも?
ま、まぁ、結果オーライって奴だ!
「ちょっと失礼するよ」
とりあえず、一言断ってナイフで大木に縫い付けられている少女を助ける為に近づいて、やたらと際どいラインを攻めているナイフを一本ずつ丁寧に引き抜いていく。
女の子を傷つける訳にはいかないし……って、硬いなこれ! すげぇ刺さってる。
って言うか、すごく際どい場所に刺さってるから慎重にいかないとダメなのに、こんなに深く刺さってるとか……彼女の吐息が首筋に掛かるのがムズムズする上に、ぴくぴくと小刻みに震える身体のラインとか、ほぼ密着するような距離のせいではっきりと分かってしまうボディラインの良さが相まってこう……イケナイことしてる気分になる。
見知らぬ男にこんなことされてる方は堪ったもんじゃないかもしれん。
「大丈夫、辛くない?」
訪ねてみると、ナイフが掠った場所をさすっていた。 まぁ、その手の傷はピリピリして痛いよなぁ。
平原で雑魚相手の戦闘してるとその手の傷ばかりになるから、全身の色々な場所がピリピリして結構辛いんだよな。 経験あるから良く分かるわ。
緊張から解けたからか、彼女は膝から崩れ落ちそうになっていたので支えてやりながら、ゆっくりと地面に座らせる。
男が邪魔で見えてなかったけど、彼女の内腿には凶悪な太さをした矢が深々と突き刺さっていた。 おいおい、これを見逃してたとか僕は馬鹿じゃないのか?
確実に男が悪いじゃないですか、やだー! 問答無用で切り捨てておけば良かった。
とりあえず、治療の為に……あれ、矢の治療ってどうすれば……あ、治療ウィンドウをタップするとカウント後に自動で引き抜いてくれるのか。 患部には腰のポーチにしまっていた低品質ヒーリングポーションを取り出してガーゼを湿らせ、傷口に当てる治療を行う。
こうすると、ポーションを飲んだ場合と違ってダメージ痕を集中的に治療してくれるので、痛みが素早く引いてくれるので楽になるのだとリリアが教えてくれたのだ。
「……平気、ちょっと染みるけど大丈夫」
俺は気丈に痛みを耐える彼女が、顔色を悪くしているにもかかわらず僕に対して笑みを浮かべているのが逆に辛かった。
こんな酷い目に会っていたならば、一秒でも早く助けるべきだったのに!
モンスターの魔結晶をチラ見したり、男の様子を窺っているべきじゃなかったなぁ。
「それは良かった……済まない、すぐに気付けなくて怖かっただろう?」
僕がそう謝罪すると、彼女は糸が切れた様に僕の胸にもたれ掛って来た。
すすり泣くような声が徐々に大きくなってくる。
……やはり怖かったのだ。
VRってリアルと同じような雰囲気があるから、女の子が男に暴力で襲われれば不安じゃないはずがない……俺は彼女に「大丈夫だ」という思いを込めて、その頭を抱きかかえてぽんぽんと撫でてやる。 女性を慰める方法をあまり知らない僕なので、子供の頃に母さんや父さんがしてくれたことをまねる事しかできなかった。
これが正しいやり方かどうかは分からないが、辛い時に感じる他人の温もりはどこかホッとする。
少なくとも、彼女の気持ちが落ち着いて泣き止むまでは、このままで。
新(旧?)ヒロインが遂に登場です。
プロローグ01から数えて通算15話でようやくとは……。
残念ながらセイロンは光の剣は持ってません。
もっと装備やスキルを鍛えておけよなぁ! 派手な戦闘はまだ遠い。




