指輪
続きを書くことができてよかったです(^.^)
体力が有る限り走り続けたアキは、校舎のすぐ側にある木の陰から様子を伺っていた。今、見る限りゼロは崩れた校舎の瓦礫の向こう側へ行っているので、姿は見えなかった。
他のクラスの死者がいないか心配だった。しかし、今は相手の人数などが確認できないから、迂闊に飛び込むことができない。
他にも理由はある。指輪の力が弱いこと、そして何よりアキ自身が何度も使ったことが無いので上手く使えるか分からないこと。
過去5回試して3回は成功しているのだが、今回が上手くいくと考えるのも難しい。何か変化はないものか·····。
「······ッ!?」
がさがさっという音をたて、近くから大きな影が飛び出した。バレていたかと思って死を覚悟した。しかし、自分の体に異常は無いことに気づいた。
何処へ行ったと思って周囲を見渡してみた。校舎の瓦礫の前に人間の姿。ゼロは人間に似ているが見分けはついた。
「あいつは····同じクラスの·······」
不覚にも名前は覚えていなかった。だが同じクラスの男子だと言うことと、彼は指輪を持っていないということはわかった。
がさっ、がさがさ····がさがさがさがさ
なんということだろう。危険だと知っているはずなのに1人、2人と増えてきて男子と同じく瓦礫を見ていた。
15人もいるのにやはり指輪を持ったものはいなかった。
どうしようと考えていたとき1人目の男子がうめき声をあげた。その瞬間体が木っ端微塵に吹き飛んだ。血液が飛び散り、周りの人達に血の雨が降り注いだ。
·····え? 死ん····だ???
震えがとまらない。今すぐ逃げたくなる。
側にいた人達はそんな状況で冷静でいられる訳でなく、悲鳴を挙げたり泣いたりして走り去ろうとする。木っ端微塵となってしまったのなら原因は。
ギィギィと鳴き声をあげながら表へと出てきた。
――ゼロだ!!!!!!!
鳴き声がどうであろうとやはり姿は人に似ている。あれで人の言葉を喋っていると分からないかもしれない。
パンッ!!!!
また1人、今度は女子が吹き飛んでしまった。
「もう見てられない·····頼むわよッ!!!!!」
指輪を見つめつつ、木の陰から飛び出した。みんな、早く逃げて、出来るだけ抑えておくから!!! そう考えていたが震えがとまらない。
ゼロも気づいた。嬉しくはないが、幸い相手は3体だった。1体でも相当強いが少し安心した。
「さぁて、先手必勝!!!!」
手を前に出し、手のひらに気を集中する。手のひらがじんわりと温かくなってきた。
おねがい、せめて今回だけでも····ッ
願いが届いた様に手のひらの前に火の玉が出現していた。その火の玉に力を更に込め、放つ。予想以上に反動が大きく、後ろに一歩下がってしまった。手応えはある。
ゼロをめがけて一直線に飛んでいく。
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
黒い煙をあげてゼロに直撃した。やったか?と様子を伺う。
数秒すると煙の中からギィ、と言う鳴き声が聞こえた。
――!?
見て察するに火傷をしてしまったという程度だろうか。そして今度はゼロがこちらに手を向けてきた。
右手が、指輪をはめているほうの腕が、ドクンと波うった。そして···破裂。
「ぐッ!?······」
あまりの激痛に意識が薄くなってきて、声すらでなかった。そして、終わったわねと諦めて地面に倒れこんだ。
次回もお願いします。