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序説
序説.
この物語に救いはない。
7日間をかけて光の矛が降り注ぎ、世界は殲滅の焔に身を焼かれる。
この物語に救いはない。
それでも、彼は途方もない悪意の群れに弓引き、刃を向ける。
この物語に救いはない。
呪われた不死の肉体を授けられ、万物を破壊できる力を手に入れ、民草に悪魔と蔑まれても。
この物語に救いはない。
彼は物語に救いを求めてはいない、求めている救いは一つだけ。
この物語に救いはない。
彼が愛した者の魂の救済だけ。
孤独な闇の宇宙に咲いた愛の花を届けよう。
愛する者のために。
愛のために。
この物語に、救いは、微塵ともない。