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双天のステルラ  作者: なまけもの
世界への旅立ち
22/49

第22話

いよいよ双子がエレスティスと邂逅を果たしました。

最近は漸く仕事に一段落ついてきたので執筆がちょくちょく出来ているのではないかと思いますけど、やはり文章力の向上があまり見られませんね。他の投稿者さんは凄いですよね。よくあんな内容の濃い小説を執筆出来るのかと尊敬せざるおえません。

誰かオレに文章力と想像力を分けてくれー!!


それでは第22話もどうぞ!

 冷めたい印象が強い若い男性とまがり廊下で偶然ぶつかった双子は無事に玉座の広間前まで来ていた。だが、広間へと続く扉を守護する槍を携えた兵二人に理由を問われていた。


「子供が何故、この場所まできた」

「なんでって王者の儀式に参加したいからだよ。それであわよくばセレスティスって人と友達になりたいなあ~って……うわわっ!?」

「貴様、子供と言えど王族たる者の名を卑しめる事は断じて許されぬ事だぞっ」


 兵士から訊ねられた質問を素直に答えるとアイルは槍を突き付けられて非常に吃驚して両手を挙げて降参の意を示す。兵士がアイルに槍を突き付けた理由はただ一つ、コルネット王国の王族である第三王女セレスティスにさんや様と敬称をつけずに名前を呼んだからである。例えスラム街のような環境が劣悪で心が捻くれた人物であろうと公の場においては敬称をつけるのは当然だからだ。


「ご、ごめんなさい! け、決して卑しめてるわけじゃないんです……だけど、王者の儀式に参加したいのは本当で」

「お、王者の儀式に貴様たちのような子供が……だと!?」

「そ、そうです! だから私とアイルはその……王様に会いに来たんです」

「冗談は言うものじゃないぞ!? 王者の儀式は神聖なコルネット王国の古儀、子供が参加出来るわけがないだろう?」


 槍を突き付けられて即座に動いたのはアイラ。

 二本の槍の先端ににつく鋭い槍頭にビクつきながら王者の儀式に参加したい為に来たと説明する。アイラの説明を聞くと目を大きく見開いて双子を凝視する。

 そもそも王者の儀式をただの冒険者に任せようとする事自体が愚の骨頂とさえ思えるが、王者の儀式に冒険者を雇う事は今回が初めての事でもある。その為、兵士たちの中では国王に疑念を抱くものさえ出てきている。


「これでもボク達結構強いんだよ。だからお願いだってば、ねっ!?」


 両手を合わせて王様に会わせて欲しいと兵士に懇願すると兵士は困ったように腕を組んでいた。

 もしも国王の御前に出ても周りからは笑いの対象として見られる事になり、辛い思いをするかもしれないと考えると可哀想に思えてくる兵士。


「本当に会いたいのだな?」

「うんっ! 絶対に参加するって決めたんだ」

「そうか、なら扉を開けてやる。だが、王の前で無礼は許されんぞ」


 アイラに比べ絶対的に教養が足りていないアイルを見て王に会わせる事に少々重い溜め息が出てしまうが、国王の前ではそのような振る舞いはしないだろうと考えて玉座へと続く扉を開けた。

 玉座の広間には百人以上の旅人達が集っており、それぞれが国王を拝顔する為に待機していた。優男から無骨な男、可愛らしい女性、冷静な女性など様々な旅人ばかりで双子はその数の多さに圧倒されていた 


「うわぁ~、ここに居る人達全員が旅人なんだ」

「その中でたった一組だけが選ばれるんだね……」


 旅人達の私語が多い広間の中で双子は非常に浮いた存在だった。広間で待機している者達の平均年齢は二十代で幾度ともなくアクシデントを乗り越えてきた者達ばかりである。しかし、双子は幼くさらに経験もまだまだ浅い駆け出し冒険者もしくは旅人でしかない。

 そんな双子が王者の儀式に参加しようと玉座の広間に来ている事に他の者達の視線は一気に集まる。無数の視線を一辺に集める双子だったが最近慣れ始めていた。


「あんな子供達も?」

「どうせ子供達の遊びだろ放っておけ」


「あの男の子可愛いわね、食べちゃいたいぐらい……」

「そうか、あの女の子なんて大きくなれば間違いなく美人になるぞ」


 こそこそと双子を見ながら様々な事を呟く者も多々いる。しかし、他にも話している声が煩く双子の耳には届かない。

 一時間ほど広間で待機していると一人の兵士と数名の音楽隊が玉座の後ろにある赤いカーテンから出てきて声を張り上げた。


「王様のお成り!!」


 すると音楽隊が国王が登場するのを待っていたかのようにトランペットやクラッシク音楽用のバスドラムで周りを盛り上げる。大きな音に双子は両手で耳を塞ぎ王様の姿を一目見ようと旅人達が集まっていない外側から前へと出ていく。

 国王の隣には気乗りではない真紅の髪が特徴のセレスティスがいた。その姿を見て双子はすぐにその人物が第三王女で中心人物なのだと理解した。国王が玉座に座りその隣でセレスティスは広間に待機している旅人達を見下ろし眺める。


(どうして……! 知らない人と儀式を行わないといけないの?!)


 セレスティスに内に秘めるは不服や不満といった想い。

 それ以前にセレスティスは王者の儀式を行う事自体に不満を抱いているが国王はそれを察していない。否、察していたとしても儀式を進めるであろう。今の彼女の心境で旅人達を見れば自分達の私欲の為に参加していると考えてしまう。


「旅人よ隣に立つ者こそ私の娘でありコルネット王国第三王女エレスティスである。そして、王者の儀式を行う者。お主達がこの場所に来た理由は既に分かっておるから単刀直入に言おう。エレスティスの儀式に同行出来る者はエレスティス自身に決めてもらう。そして、成功した暁にはお主達が満足できるほどの報酬も与える」


(あ……この人、ホントは)


 王の口から報酬という単語が出ると旅人達の歓喜の声が上がる。

 ただそれだけの事だがエレスティスにとっては不快感極まりなく眉を顰めて握り拳を作り強く握っていた。それをアイラは自身の瞳に映してしまい俯いてしまう。


「ね、ねえアイル」

「どうかしたの?」

「王者の儀式に参加するのやっぱり止めない……? エレスティスさん本音は王者の儀式には出たくないんだと思うの」

「急にどうして? ……あ、ホントだ。なんか不満そうな顔をしてるや」


 エレスティスの想いを感じ取ったアイラはアイルに王者の儀式の件はなしにしようと案を出した。それを何故と言いたげな表情にアイルはなるがアイラがセレスティスの方を見ていたので、アイルもエレスティスへと視線を移す。

 身体能力も並外れて高いが視力も高い。これは双子のどちらも言える事で物理的な壁がなければ遠距離の対象でもハッキリと視界に映す事が出来るのでエレスティスの表情がどうなのかも他の旅人と比べれば見て取れる。


「それならここを離れよっか」

「えっ……自分で言うのも変だけど本当に良いの? アイル凄い楽しみにしてたのに」

「そうだけどあの人が楽しめないなら意味ないと思うんだ」


 アイラの意見を聞いたアイルは楽しみにしていた割にはあっさりと同意した。まさかこんなにも聞き分けが良いとは思っていなかったのか、ついアイルにもう一度確認をとってしまうアイラ。

 確かにとアイルは少し納得のいってない表情を見せるがセレスティスが王者の儀式を楽しめないのであれば同行しても意味がないと語った。だが、アイラは一体何が意味ないのか分からずに疑問符を浮かべてしまう。


「ねえ、どうして意味がないの?」

「だって楽しいって思っている方が面白くなるし、ボク達だけ楽しんでも詰まらないじゃん」


(アイルらしい答え……。やっぱりそれがアイルだよ)


 アイルにとって王者の儀式に参加する事はあくまでも楽しむ事が最大の目的で、他の旅人達のように賞金などは二の次だった。そんなアイルの回答を聞いてアイラは何時ものアイルだなぁとしみじみ感じていた。

 双子がこそこそと静まり返った玉座の広間で話しているのはぶっちゃけ聞こえていたりする。そもそも国王という大層な方が話されている時に小さな声で話す事もまずない。その為、双子の声は周りに聞こえている。さらにアイルの声は小さいと言ってもそこまで小声ではなく、寧ろ普通に話している時とさほどアイルの声量は変わらない。


「えっと……もしかして私達、やっちゃった?」


 こそこそと喋っていた双子だったが国王の声が聞こえないぐらいの静けさに漸く気付いた。アイラはやってしまったと顔を見る見る内に青褪めていき心中では小さく唸り自虐に入っていた。


(ぅ~……! 私の馬鹿馬鹿~)


 一人自虐しているアイラを置いてアイルは空気など一切読まずにセレスティスの方へと歩み寄っていた。


「あの子供……何をしているんだ!?」

「馬鹿、取り押さえに行くぞ! 国王の前でなんと無礼な!!」


 兵士たちはエレスティスへと確実に歩いて行くアイルを見て我に返り取り押さえようと長さ六m弱の一般兵に支給されている鉄製の槍を構えアイルを捕縛しようと構える。打開策を練っていたアイラだったがそれを簡単に壊しているアイルに開いた口が閉じなかった。


「あ、アイルのバカ~……」


 余計に状況が悪化してしまった事に本気で嘆きたくなったアイラ。しかし、もう嘆いても遅いのだがアイルの言葉にその場全員がどよめく。


「ねえ、どうして王者の儀式に参加したくないのに無理するの? 今の君の顔、すごく嫌そうにしてるよ」

「えっ……それは」


 エレスティスへと近づくとアイルはただ純粋に無理をする理由を訊いた。それを今まで一度も聞かれなかったエレスティスは戸惑い言葉に詰まっては真っ直ぐに視線をぶつけてくるアイルから目を離せなかった。

 しかし、それ以上にエレスティスが否定していない事に旅人達はどよめく。王者の儀式はエレスティスが受けるもので旅人はあくまでも護衛でしかなく、本人であるセレスティスが行かないといえばそこまでだ。だが、もっとも驚愕しているのは国王も同じで再度疑うように確かめる。


「エレスティス……それは本当なのか?」

「父上……それは本当……です。私は王者の儀式に参加したくはありません」

「なんと……」

「誰も私が王となる事に賛同する者たちはこの城にはいないのですから……」


 目を伏せながら自分が王になろうとする事は誰にも賛同されないと弱弱しい言葉で伝えるエレスティス。

 国王はエレスティスからの本音に頭を抱えたくなったが旅人達の喧騒を鎮めようと命令を下す。


「どういう事だよ……?! それってつまり立て札の事は」

「無しって事だろうぜ」


「そういう事だ。済まないが旅の者たちよ下がってくれないだろうか」


 旅人にとって不満をぶちまけたい現状だが状況的には自分たちの首を絞める事に変わりはないので下がってくれと言う言葉に素直に従い旅人達は玉座の広間から去って行く。だが、それぞれ不満を抱いた表情をするが旅人達も大馬鹿者ではない。

 国王に対して暴言を吐けばそれこそ牢獄行きになりかねないので素直に従っただけにすぎない。そこまでして人生を棒に振ろうとは誰も思わない。

 だが双子は別である。アイルがエレスティスを惑わせる事を言わなければ現状は変わらないまま話は進んでいた。



 広間に居た全ての旅人は退出しておりこの場に存ずるのは数名の兵士達に囲まれている双子と国王そして、エレスティスだけである。


「貴方達は一体何者……なの?」

「ボク達は普通のどこにでもいる子供だよ。って、どうしてボクは兵士達に槍を突き立てられてるの!?」


(気づくの遅いよ……。ちゃんと怒らないとこれから先、同じことがあったら命が幾つあっても足りない……)


 高座から降りたエレスティスは初めて自分の心を見透かされてた事で少し双子に関心を抱き、アイルの前に立って見下ろしながら素性を聞いた。聞かれたアイルは温かい笑顔をセレスティスに向けながら普通のどこにでもいる子供だと自ら称した。そして、漸く兵士達五名に囲まれて槍頭を首元に突き付けられている事に気付いて吃驚していた。首元の理由は単にアイルの身長が低く普通に構えても首元に突き立てたほうが楽だからだ。

 あまりにもマイペースなアイルを見てアイラは小さく嘆息する。広間に入る直前で扉を守る兵士に注意された事を完全に忘れているアイルにちょっと本気で怒りたくなったアイラは決して悪くない。


「ボクの名前はアイルって言うんだ。それであっちに立ってるのがボクの双子のお姉ちゃんのアイラだよ、お姉ちゃんの事をボクにも教えてよ。ね、良いでしょ?」


 珍しく姉としてアイルを怒ろうという感情がふつふつと湧き出ているアイラの事など露知らず、勝手にアイルは自己紹介を始めた。他人を置いていっているが気にしないそれがアイルだ。


「お前達、槍を下げるのだ。言葉は悪いがこの子らに敵意はない」

「王がそう仰るのであれば」

「分かりました」


 国王から子供だから言葉づかいは考慮しアイルから槍を下げるように兵士達に命じると兵士達はアイルの首元に突き立てていた槍を離しそれぞれ持ち場へと戻り警備に戻った。


「私はエレスティス。エレスティス・コルネットよ一応……第三王女になってるけど」

「一応ってどういうこと? エレスティスは王様の子供なんだから一応じゃないと思うんだけど」

「それは、貴方が知る事じゃないの。それよりも貴方達はなんで子供なのに旅をしているの、両親が心配しているはずだけど」

「それがボク達が旅をしてる理由の一つだよ。ボクとアイラは両親と話した事や触れた事もないからね」


「えっ――それって、貴方達は孤児じゃ」


 エレスティスは自分が王女である事をアイルに伝えたが一応という言葉にアイルは首を傾げる。国王もエレスティスを旅人達に紹介する際、娘だという事をその場に居た者達全員に公言していた。だからこそ、アイルは何故と疑問を抱き迷う事なく直接質問した。

 しかし、それをエレスティスが答える事はなく一言で切り捨てられた。

 アイルの問いがエレスティスにとって気分を害するものだったらしくエレスティスがにべもなく即座に切り捨てると逆に問いかけた。それは双子について。

 子供という身で旅をしていて両親が心配していないのかというものを聞くがアイルはかなり呆気らかに答えた。だが、アイルが答えた内容は結構重いものでセレスティスや国王達は耳を疑っては双子へと視線を移す。

 両親が居ないと告げた本人は全く辛い表情などなく寧ろ驚愕されている事にアイルはどうしたのと思っていた。それはアイラも同じで特に双子は両親が居ない事にマイナス的な思考は持ち合わせていない。と言うよりもグランとマーザに愛されているので愛情への切望などそういった感情はない。


「こ、孤児じゃないですよ? 私とアイルにはきちんと育ての親がいますし、私達にとっては家族ですから」


 さらに孤児扱いされているのでアイラは慌てて訂正する。


(やはり、世の中には子を捨てる両親は居るのだな……ん? あの子が携えている剣はまさか?!)


 自分の王政で孤児が出てくると考えると辛いものがある国王だったが、ふとアイルが携えている剣に目が行くと息を呑んだ。

 見覚えがあるのだろう記憶にもある。だからこそ普通の子供と称するアイルがその剣を持っている事に違和感しか抱けないでいたコルネット国王。


「アイルと申したな……。その剣、何処で拾ったのか教えてもらえないだろうか」

「これは拾ったんじゃないんだよ。ボクが幼いころからずっと持ってた剣なんだ、この剣がどうかしたの?」

「その剣は形がやや異なるが恐らく星天の剣。英雄エルトリアが使用していた伝説の剣だろう」


「「へっ?」」


 アイルが持つ剣――それは伝説や英雄譚の中に登場するエルトリアが所有していた武器だと語った。

 国王からそう説明されたが双子はその言葉の真意を理解する事が出来ずに数回瞬きをして再び国王へと視線へと向け、話を理解出来ていない双子を見て非常に意外そうな表情をしている国王。


「言葉の通りなのだが分からなかったのか?」

「あ、あのエルトリアという方は空想上の存在ではないのですか?」


 神話や人の創作物語の中でのみ登場する架空の人物だとエルネから教えてもらった事があるので、国王の言葉は信じる事が出来ずにいるアイラ。そもそも、エルトリアが実在した可能性は少なからずあるのだがそれを実際に証明できた学者や国は現在もなく、時代と共に民衆からは完全に架空の主人公と位置に置かれている。


「なにがなんだか全然分からないけど、この剣はエルトリアが所有していた物と似てるってことで良いんだよね?」


 既に思考放棄していたアイルはアイルが理解出来た事だけ、つまり現在アイルが所有している剣はエルトリアが所有していた剣と似ているという事を国王に再確認した。それで正解なので短く「うむ」と頷き肯定し、エルトリアに関して更なる説明を加える。


「エルトリアの妻であるエトワールは元々、セレナーデ王国――現在のコルネット王国とファゴット王国はセレナーデ王国の姫君だったと伝えられている。特に我がコルネット王国はその宗家にあたる」


「ねえねえアイラ。宗家ってなに?」


 宗家という単語は普通に生きているのであれば余り聞く単語ではないのでその言葉の意味が分からずにアイラに聞いていた。

 基本的に分からない事はアイラ頼みのアイルだが、アイルに頼られるというのがアイラにとっては嬉しい事なのでちょっぴり表情が緩んで、お姉さんっぽく説明しようとした。


「えっとね宗家っていうのは」


 説明しようとアイラが口を開くと横から国王が宗家について説明し始めた。


「宗家とはつまり本家という意味だ。簡単に言うと元は一つの家に数名の子供が居るとしよう、その家長が次の後継者を決めて、選ばれた者が宗家。そして、後継者の兄弟は家を出る事となりこれが分家という。つまりは親戚同士だと考えていれば良いだろう」

「そうなんだ~、ってアイラどうしたの!?」


「何でもないよ~だ……」


 アイラの横から国王から宗家について解りやすく説明を受けたアイルは本当に理解出来たのか不明だが納得しつつ、国王から自分の役目をとられソッポを向くアイラを見て首を傾げながら問いかける。

 珍しく拗ねているアイラ。そんなアイラを見て国王は空気を読めていなかった事に後悔する。


「拗ねちゃダメだよアイラ。アイラは笑ってる方がずっと可愛いし、そっちの方がボクは大好きだよ」

「そ、そんな事ないもん私は可愛くないもん……。それにアイルはずるい……よ」

「なんかズルい事したボク!? 心当たりがないんだよ~」

「ううん、何もしてないよ。ただ私から見たらずるいんだよ」


 拗ねているアイラを宥めるがその言葉に機嫌取りは一切含まれず純粋にアイルがそう思うから告げる言葉。

 だからこそか双子の弟に対して頬を紅潮させては若干、心を取り乱しながらも可愛くないと自虐しながらアイルをずるいと称した。

 当のアイルはずるいと言われ、心当たりがないので驚きながら何か悪い事をしたか確かめていた。勿論、ずるなどしていないのでアイラはアイルの困った表情を見て可愛いなどと思いながら違うと言う。


「??? それってどういうこと?」

「アイルには教えないよー」

「そんなあっ!? 教えてくれても良いじゃん」

「まだ教えないもん、何時か必ずちゃんと教えるからそれまでは内緒だよ」


 しかし、アイラの言う意味が解っていないので第三者からでもアイルが分かっていないのは目に見えて分かる。教えてほしいと言うがアイラは小さな微笑みを一つ零し拒否する。

 だが絶対に教えないというわけではなく何時か伝えるべき時がくれば教えると答えた。それだけでアイルは満足なのか笑顔で頷く。


「アイラがそういうならボクは聞かないよ」

「楽しく談笑してる所悪いんけど、貴方達はここに何をしに来たのかしら? もしかして――王者の儀式に同行したいと思ってなのかしら?」

「そうだよ、旅をしてるとお金は減っちゃうから丁度よく報酬が貰えるから参加しようと思ったんだ。でも、本当は王者の儀式がすごく面白そうだからってのがボクの一番の理由なんだけどね」


 仲良く談笑をしている双子を横にセレスティスはその光景に少々羨ましそうな表情で見ながら、アイルにこの玉座の広間を訪れていた理由を確かめた。まさかとは頭の中で過ぎったが流石に子供が危険な催しに参加するとは思えずにいたエレスティスだったのだが、アイルは即座に肯定しさらにお金目的と面白そうだからと付け加えた。

 やはり私利私欲の為だと分かると相手が子供でもセレスティスは辟易とした。


「貴方達もやっぱりそうよね――」


 他の旅人と同じだと双子に対して発言すると背を向けてスタスタと広間から出て行くエレスティス。後ろを向いた時にふわりと揺れる真紅の髪が印象的でアイルとアイラは何故かエレスティスの事が気になって仕方がなかった。


「やはり――無理なのだろうな。すまないなあのような立て札を立てたにも関わらず期待を裏切るような真似をしてしまって」

「い、いえっ! それに同行出来るかも怪しいものでしたし……」

「そうかなぁ、ボクは同行出来る自信はあったのに」

「その自信は一体どこから湧き上がるの……?」


 客人ではないが自分勝手に一人さっさと広間を離れたエレスティスに溜め息を吐きつつ、国王は双子に小さく頭を下げて謝罪を述べた。まさか一国の国王から頭を下げられるとは思いもしなかったアイラはどう対応すれば良いのか分からず声も少しずつ小さくなっていた。

 逆にアイルは同行出来るという自信があったらしくそれを聞いてアイラは何時もの事ながらどこからそんな自信が湧いているのか不思議で仕方がない。


「ふふっ、頼もしい事だ。うむ、お主達が良ければ娘のセエレスティスの話し相手になってくれないだろうか。娘は十五歳という年頃だが立場上、親しい人物が少ないのでな。頼めないだろうか」

「もっちろん良いよ!! ボク達も友達が増えるのは嬉しいからね」

「はい、私みたいな人でも良ければ是非とも!」

「ありがとう二人とも。恐らく今から追いかければ間に合うだろう娘を宜しく頼む」


 虚言かどうかは判断し兼ねるが胸を張っているアイルが頼もしいと思えた国王。そんな表裏のないアイルと少々人見知りはあるが優しいアイラを見て一つ依頼をした。

 その内容はエレスティスの話し相手になってほしいというものだった。

 どうやらこの国ではエレスティスと親しい人物は非常に限られており寂しい思いをして日々を過ごしているのだと国王の説明を聞いて、そう解釈する双子。そして、特に断る必要がないので双子はそれぞれ二つ返事で快諾した。

 特に疑問など持つ事なく快諾した双子につい期待してしまう国王。大人であればエレスティスが今のように相手との距離を取っている理由を聞くだろうが、深読みなど頭にない双子に寧ろ信頼出来ていた。


「それじゃ今から急ごうアイラ!」

「そうだね、お城の中で迷ったら余計に時間が掛かってしまうもんね」


 急げばまだ間に合うと国王に言われた双子は走って一人出て行ったエレスティスを追いかける。

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