第17話
漸くこの話でお化け屋敷も中盤迎えました。
単純に会話文だけの回であまり進展はないと思いますが。ちなみに少女たちの名前ですが途中でまた名前を出します。
特にいらないキャラ(ぁ ですがまぁ、気にしないということで。
ちなみにギンタの年齢は13歳ぐらいで体系はジャイアンを連想すればいいですw
それでは
地下に繋がる隠し通路があると謎の声に教えてもらったアイル達はロビーに戻り壁などを手探りで調べていた。よくある冒険譚では壁にギミックを動かすスイッチがあるといった感じに描かれるのでアイルは壁を押したりしている。
しかし、地下へと通じている場所は見つからずにアイルは口を尖らせていた。
「全然、見つからないよー。ホントに地下なんてあるのかな? ファゴット城みたいに大きいわけじゃないし」
スイッチらしきものを見つける事が出来ずに地下があるのか疑うアイル。屋敷は貴族の家と比べれは平均的な広さだが王城と比較すれば小さなもので地下があるとは到底思えなかったのだ。さらに数百年どころではないほどに放置されているので異常に汚く少女たちはあまり自ら触れようとはしない。
地下の有無を疑っているアイルにアイラは少し考えてから励ますことにした。あれだけ楽しみにしていたにも関わらず何もなければアイルが可哀想だと感じたからだ。
「そんなこと、ないよ。このお屋敷はずっと前からあるみたいだから地下を逆に作ってたりするかもしれないし」
「うん、まだ諦めてないから大丈夫だよ!」
「それじゃもうちょっと頑張って探してみよ。きっと見つかるからね」
励ましてもらったアイルは笑顔を向けてアイラに大丈夫だと返した。
アイラの本音といえば実際は早くこの屋敷から離れたい、地下には行きたくないと思っているのだが頑張ってアイルに着いて行く事にした。
双子が仲良く話していると明らかに置いてけぼりをくらっていたギンタが自分の気持ちを暴露する。正直、ギンタは雰囲気に呑まれ怖がっている。
「俺たちの事を忘れてないか?! 地下があっても行きたくないんだけど!!」
「それなら残ってても大丈夫だよ。ボクが声の正体を明かしてくるからさ、そうすれば無事に帰れると思うし」
「お、お前はほんっとにお化けとか怖くないのかよ!? さっきからワクワクしてるって言ってるし」
「怖いって少しはそんな気持ちはあるけど、やっぱりボクはワクワクやドキドキのほうが大きいよ!」
怖いから行きたくないとギンタがアイルに告げると待ってても良いとアイルは即座に返答した。特にそれについて咎める事をしないアイルについ強く当たってしまうギンタ。なにせ発案者でありながら怖くてアイルにまかせっきりだったからなのだがそんな自分とは違い、怖がる様子を見せないアイルに何故なのか強い口調で聞いてしまう。それはギンタの微妙な罪悪感なのかもしれない。
本当のところはどうなのかギンタから問われたアイルはちょっぴり怖いと答えたが、やはりそんな不安よりも期待の方が圧倒的に大きいのだと満面の笑顔で言う。そんな笑顔を見せられてエルネやギンタ、メルフィー達は黙り込んでしまう。
「……むぐっ、俺よりもチビのお前にそこまで言われて引き下がれるかよ! 俺が提案したんだから最後まで付き合ってもらうからな!!」
「あはは、素直じゃないね~。大丈夫だよ最後までちゃんと一緒に付き合うからね」
数秒ほど黙り込んでいたがギンタの負けず嫌いな部分が再び表に出てきた。再び出てきたのは恐怖心に負けていただけで、アイルの笑顔を見ていると自然に大丈夫なのではないかと根拠もなく思えてきたからだ。元々、お化け退治にアイルを誘ったのもアイルに負けたくないという思いから大きく、そんなギンタに意地悪そうに笑いながら素直じゃないと言いながらもアイルは右手をギンタに差し伸ばし握手を求める。
「ギンタ君ってホントは良い人なんだよ。ただ上手くそれを表に出せないだけなのさ」
「ちょっ、変なことを言うんじゃねえよメルフィー!」
口も悪くエルネを苛める為にお化け退治を考案したが根は良い人物だとメルフィーは体を竦めながら答えるとギンタは顔を真っ赤にさせて軽く払おうとするがすんなりと避けられた。
仲良く話すアイル達に恥ずかしそうに顔を紅潮させもじもじしながらアイラがアイルに声を掛ける。
「あ、アイル……ちょっと良い……?」
「どしたのアイラ?」
「あ、あのね……」
気恥ずかしそうにしているアイラを見て小さく首を傾げながら理由を問うとアイラは他人には聞かれたくないのかアイルの耳元で呟く。
「そういうことね。トイレなら一階の……むぐぐっ」
「皆が居るんだから言わないで……! それに怖いから……い一緒に来て……ほしいの……」
「ぷはーっ! わ、分かったからそんなに怒らないでよ」
アイルがトイレに行っている間に水分を補給していたので尿意を感じていたのだが、それを親しみのない者たちがいる場所ではアイラとしては恥ずかしい気持ちで一杯になりアイルが言い終わる前に素早く口を塞いだ。その速度はギンタ達が目を見張るほどのものだったという。そして、アイラは恥ずかしいから暴露しないでとふくれっ面にして言いながらも、一人で洗面所に行くのは怖いので同行してほしいとアイルに頼み込む。
口を塞がれていたアイルは漸く息を吐くことが出来、大きな息を吐き失言だったと思いながらアイラを宥めていた。するとエルネも気恥ずかしそうにおずおずと右手を挙げていた。
「あ、あの……私もトイレ、良いかな?」
「それなら全員で行けば良いんじゃないのかな。みんなといれば怖くないだろうし」
洗面所まで同伴する必要があるのならばいっそ全員で行くという案を出すアイル。何も考えずに言ったのでアイラやエルネ、少女二名は林檎のように一気の頬を紅潮させて少女二名はアイルを勢いで叩こうとした。
「なにを言ってるのよへんたいっ!」
「わわっ!? な、なんでそんなに怒るの? みんなで行けば怖さも半減するのに」
「す、少しはデリカシーというのを学んでよ!」
(アイルって鈍いんだなぁ。メリア達が怒る理由は普通に考えれば分かるのに、もしかしてバカなのか?)
自分たちが恥ずかしがっている理由を考えてから物を言ってほしい少女は顔を赤くしながら叱咤するが、アイルは意味を分かっておらず首を傾けてしまう。
無邪気に首を傾げているのが余計に腹立つのか声色が荒くなってしまうが、ギンタやメルフィーからすれば怒るのは確かに無理はないなーと呑気に思いながらアイル達のやり取りを見ていた。
「それに貴方も良いの?! 双子だからって気にしなさすぎじゃないの?!」
「えっ……えっ? 私は今でもアイルと一緒にお風呂入ったりしてるから、別に恥ずかしくないよ……?」
メリアから双子だが異性なのでお手洗いに同行してもらうのは恥ずかしいのではないかと訊かれると、アイラは逆に何故と言いたそうな表情へと変わっていた。今でも湯船には同伴で浸かっているアイルとアイラからすれば特に恥ずかしい事ではないので、メリア達が羞恥している理由に思考が行き着くことは限りなく遠いであろう。
「ううん……なんでもない気にしないで」
この双子に普通の一般的な感覚を求める事は間違っているのだとメリアは受け止めた。
※
結局、お手洗いに一人で行くのは怖く勇気が必要ということでアイルがお手洗いまで先導した。アイル達は外で待っておりアイラとエルネが用を足している。
待っている間は結構、暇なものでアイルは大きく欠伸をしながら壁を触ったりして隠し通路を今も探していた。そんな事をしているアイルは突然、ギンタに変な質問をぶつけた。
「なんでギンタくんはエルネの事を苛めてるの? 別に悪い事はしてないと思うけど」
「それは……その……」
エルネとギンタ達の間にどんな問題があるのかはアイルには分からないが、エルネへ特に苛められるような部分はないと思っているので不思議に感じていた。そして、アイルから問われたギンタは非常に言い辛いのか言葉に詰まって視線が泳いでアイルの方は向いていない。それだけでなく唸っておりアイルは少し目を見開き言い難い事なのだと判断し声を掛ける。
「言いにくいのなら言わなくても良いよ。だけどちゃんと仲良くしないとダメだと思うよボクは」
「単にギンタ君はエルネに振り向いてほしいだけだよ。恋をしてるのさ」
「へ~、そうなんだ。んん!? なんで好きなのにそんな苛めるような事をしたくなるのさ!?」
理由は言わなくて良いとギンタに言ったそばからメルフィーが苛めている理由を暴露し、アイルはだからかと納得しそうになった。が、すぐに好きなのになぜ苛めるのかと驚いた顔もちですぐにギンタの顔を見る。暴露されたギンタは一気に顔を紅潮させる。それが羞恥心からなのか怒りなのか、それともどちらもなのか分からないがメルフィーの肩を掴み強く揺らしていた。
「勝手に言ってんじゃねえよおおっ!!」
「ご、ごめんってギンタ君! そ、そんなに強く揺さぶらないで頭が……ぐらぐらするからあ」
(メルフィーくんが言ったことは嘘じゃなんだなぁ。でも、なんで好きなのに苛めるんだろう……分からないなぁ~)
もっとも暴露されたくない事を口走ったメルフィーも同罪なのでアイルは止める事はしなかったが、ギンタの反応を見てメルフィーの言葉に嘘はないのだと納得しながらも、好きな子を苛める理由を熟考するも検討すらつかずにいた。だが、ある事実だけはアイルにも分かっていることがある。
「でもさ苛めてたらエルネは多分、もっとギンタくんの事を嫌いになると思うよ? エルネからの評価は多分、そんなに良くないと思うし」
「ぐふっ!!」
にっこりと屈託のない笑顔で容赦なく残酷な事実をアイルはギンタに告発した。その可能性を少しはあると頭に入れてあるとギンタ自身が分かっているのだが、他人に言われるとより傷は深くギンタはそのまま体操座りになって落ち込んでしまった。
(アイルって実は天然で鬼畜……なのかな)
落ち込むギンタを見てついアイルをそういう目で見てしまうメルフィー。
そんなことを話しているとアイラ達が息を乱しながら走ってきた。特別怖い目に遭ったわけではなさそうだがとにかく急いでいた様子である。
「アイル、地下への道を見つめたよ」
「え、ええっ!? ホントに? どこで見つけたの?」
地下に繋がる隠し通路を見つけた事をアイルに伝えるアイラ。それを聞くとアイルは嬉しそうな表情へと変わりどこで見つけたのかアイラに近づいて問う。
「お手洗いの近くの廊下の一部分だよ。エルネちゃんが躓いて転んだ時に気づいたの」
「案外、あっさりと見つかるもんなんだね。それじゃ、急いで地下に行こう!!」
「うおっ、急になんなんだよアイル!」
手探りで一生懸命に探していた割にあっさりと発見された事に少し眩暈がしたが、地下に行けると思うとより一層アイルのワクワクは増して眩暈どころではなかった。最早、心が先走って今にも走って向かおうとしており、アイラやエルネは消えそうにないアイルのワクワクに呆れていた。
すっぱりと言葉という名の刃で切ったギンタをアイルは右手でギンタの後ろ襟を掴み無理やり立たせアイルは誰よりも早く先に洗面所へと走る。その行動の早さに置いて行かれるがすぐにアイルを追いかけて行く。洗面所付近の廊下にくるとアイラが四つん這いになって埃塗れの廊下を手探りで触れていた。
「あった、ここ……」
「これだね、確かになんだかドアみたいだしちょっと開けてみるよ」
取っ手の部分を右手で掴み開けるアイル。しかし、相当古いのか開けるのにも中々難しく結構力を籠めて開けていた。徐々に開くと同時に埃が舞い目に入ってしまい涙を流してしまうがどうにか開ける事が出来た。
「ぷはあっ! 埃がほんとに酷いねボクの部屋でもこんなに汚くないよ」
「ちゃんと掃除してたもんね」
さすがに推定千年以上前からある建造物が残っているだけでも凄い上に掃除する人間がいない以上比べる意味はない。
「それじゃボクから先に行くよ!」
地下室に繋がる階段はそんなに大きくはなくせいぜい大人一人が入るぐらいだった。さらに暗く奥まで見えないのでより一層不気味さを醸し出しており、無難にアイルが先に確かめに行く事になった。
「アイルくんってホントにすごい……。私もあんな風に勇気が持てれば……」
怖さを知らずに突き進めるアイルと行動しているとエルネはそんなアイルが羨ましく見えていた。自ら認める程に内向的な性格で普段は家の中で引き籠って本ばかり読んでいたエルネからすればアイルは憧れの姿である。それは少し前までのアイラと同じである。
「だいじょうぶだよエルネちゃん……! 変わろうと思うことが大事だから」
「うん……そうだよね」
すぐには変わる事は難しいが変わろうと思う事が大切だと優しくはにかんで励ますアイラ。
エルネ自身もアイラから言われると確かにそうかもしれないと思えた。それはアイラとエルネの性格が似通っているからこそで、アイラが必死に着いてくるのはアイルを目指しているからと受け取れるからだ。
「おーい、だいじょうぶだから降りてきなよー」
一番最初に地下に降りたアイルが安全だと下からアイラ達に声を掛ける。
安全だと分かるとアイラ達も階段を降りていくが非常に暗く一歩一歩確実に段差があるのか確認しながら降りていた。




