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双天のステルラ  作者: なまけもの
世界への旅立ち
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第11話

この回で少し双子に関係する事柄が出てきます。もっとも曖昧な書き方しかしていないので上手く伝わらないかもしれないとビクビクしております。

と今思えば双天のステルラを褐載し始めて1ヶ月の月日が経ったんですね。は、早すぎませんかね!?

そして梅雨入りしました梅雨は嫌いです。小雨程度の雨ならば良いのですが土砂降りは傘をさしてもズボンが濡れたりする事があるので困ります。


それでは今回も楽しんでもらえる事を祈ります。

 盗賊を捕まえる為に西のファゴットの森へと向かったアイルとアイラは森の主である巨大な蜘蛛と出会ってしまった。だが、双子は力を合わせ辛くも勝利した所で騎士エルドークが数名の兵士を引き連れて森を訪れていた。その事が非常に気になった双子は兵士達を見ながら同じ様に首を傾げていた。


「ど、どうしてエルドークさんが居るの?」

「王の命令でな。お前達双子が盗賊を探しに行くのを見計らって手助けをしに来たのだが、私が来る前にお前達は森の主を倒していた」

「あの…なんかすごく良いタイミングだったんですけど。もしかして見てました?」


 やはり気になって仕方がないのでアイルはエルドークに森に来た理由を訊ねた。

 するとエルドークは国王ハヴァンの命を受けて森に来たと伝えると双子は余計に首を傾けていた。あまりにも登場するタイミングが抜群過ぎてアイラは見学していたのではないかと不審に思ってしまった。もし、そうであるのなら早く助けて欲しかった思いが強い。助けてくれればアイルが怪我を負う事はなかったかもしれないからだ。


「いや本来ならば常に一緒に居るつもりだったのだが、流石に見張りの兵をつけるのは悪いと思いそういう事はしていない。町民からお前達がどこに向かったのかを聞き今に至るわけだ」

「つまり今のも偶然なわけなんだね。いててっ…それよりも今なら盗賊団も捕まえる事が出来るよ、蜘蛛の糸に絡まってるから」


(アイル…やっぱり我慢してたんだ……)


 体を動かそうとすれば蜘蛛の脚を受けた傷が全身に走り痛がるアイルだが盗賊団が糸で絡まっている場所を指差してエルドークに教える。動かす度に苦悶の表情を垣間見せるアイルにアイラはやせ我慢をしていたのだと気付く。虚勢を張りながらも触れさせないと宣言したアイルを思い出して少しアイラは胸を高鳴らせていた、双子の弟に。


「森の主を倒せる実力があれば王もきっと許可を下さるだろう」


「やったねアイラ! それじゃ盗賊を連れて僕達も帰ろうよ」

「うん。でもアイルは直ぐにお医者さんに診てもらわないと駄目からね」


 エルドークから関所通過の許可が貰えると言われるとアイルは剣を鞘に戻しながら喜ぶ。アイラも許可証が貰えるのは嬉しいが先にアイルの怪我を診てもらう事を勧める。医者に診てもらおうと言われた瞬間、アイルは思いっ切り首を横に振っていた。


「やだやだっ! だって医者に診てもらったら針とか刺されるから絶対嫌だっ!!」

「だけど今のままじゃ治らないよ? それに針よりもさっきの方がずっと痛いと思うけど……」


 小さな針で腕を刺されるよりも余程痛い目に遭っていながら全力で拒否するアイルに何故だとついつい思ってしまう。アイルは病気を患った事があまりないので本格的な治療を受けた事はないが蛇に咬まれた時に毒を取り除く為に針を刺して取り除いた事があったが、その時は大声で喚いていた事をアイラは思い出す。だが、それ以上に蜘蛛の攻撃の方が痛いのではないのかと野暮な疑問を抱きつつも、森に滞在し続けても危険な目に遭う可能性も零ではないのでファゴット王国に戻る事になった。

 結局はアイルが診療所で診てもらう事を拒否したので、そのまま盗賊団を連れてファゴット城まで歩いて行った。途中で魔物とは遭遇するもののエルドークや兵士が居たので苦戦する事なく倒す事が出来た。傷を負った状態で戦っていれば双子だけでは苦戦を強いられていただろう。

 ファゴット城下町に着く頃には夕刻で茜色に染まる空を双子は見上げては疲れが見え大きな欠伸をかいていた。やはり初めて巨体の敵と戦った事もあってアイルとアイラはやはり城下町に到着した安心感で疲労感に襲われたのだろう通行証よりも睡眠を欲していた。


「ふわぁ…今日はなんだか疲れたねアイラ」

「凄く眠くなったね……」

「それならば明日の朝に再び城に来ると良い。私が王に話をつけておこう」


「うん…明日来るね……」


「…だ、大丈夫なのだろうか。お前達、先に戻っていろ私は双子を眠らせてから行く」


 本当に眠たそうにしている双子を見て頬笑みを浮かべると宿エルドークは宿屋まで送り、王には通行証の事は話をしておくと告げる。双子は小さく頷いて同じ宿屋で旅を初めての三日目を終えた。エルドークと兵士達に手を振りながら宿へと歩いて行く。とは言え巨体の怪物とも戦う勇気や強さを持つがやはり子供。眠たそうにしふらふらと歩いているのを見て心配になったので、先に戻るよう兵士達に指示を出すとエルドークは双子を抱えて宿屋の女将に事情を説明した。

 双子は部屋まで連れて行かれるとベッドまで運ぶとそのまま眠らせる事にした。月が顔を出した頃にファゴット城下町で診療所を営んでいる医師が訪れてアイルが寝ている間に治療を施してもらった。理由としては起きたままだと全力で拒否するからでアイルが寝ている間がベストだと思いエルドークが予約していたのだ。そこまでして双子の為にするのは将来性が高いからだろう。子供でありながら森の主を倒せる実力を持つのは大人になれば非常に逞しくなると期待せざるおえなかった。



 翌朝目覚めた双子は旅立つ準備を整えファゴット城の王室を訪れていた。王室には十数人の兵士達が並んでおり、王や王妃も玉座に座って双子を見ていた。


「エルドークから聞いているぞ。まさか森の主を子供二人で倒すとはな」


「まあねっ、アイラと二人なら負けないよ!」

「あ、アイル…凄く運が良かったんだよホントは? 蜘蛛がもっと賢かったら負けてたもん」

「でも、勝ったのは事実だから自信を持って良いんだよ」


 森の主を二人だけで倒した事を賞讃されるアイルとアイラ。アイルは右手の指でVサインを作りながら二人なら負けないと発言する。逆にアイラは運が良かったから倒せたものだからと考えて慌てて、アイルにあまり自信満々に言わないで欲しいと思い説得していた。

 姿形は双子というだけあって類似点は多く見られるが性格はまるで真逆の二人を見ていたハヴァン王や兵士達は小さな笑いを零していた。


「それでお前達の実力は分かった。運が良かったと仮定しても森の主を倒せるのであればこの先もやっていけるだろうと私は判断し許可証を与える事にした」


 怪我を負っているものの森の主を倒した功績は周囲から認められるものでハヴァン王は許可証を与える事を許した。この先の旅路も問題なくやっていけるだろうと判断したからこそで、アイルとアイラは許可証が貰えると分かるとお互いに笑顔で視線を交わしていた。盗賊を捕える事が本当の目的だったが結果オーライで許可証を得るという目的は達成出来た。


「だが! 世界は広くこの大陸には当然、今の魔物よりも凶悪なのも棲息している。世の中はそう厳しくはないぞ、分かっておるな」


「うんっ!!」

「は、はい」


 許可は出したが双子はまだ世界の広さを知らない。森の主のような凶悪な魔物が棲息している場所は世界を見ていけば必ず遭遇するだろうし、これからはより気を引き締めて旅を続けるようにハヴァン王は双子に訓示する。それを素直に聞いてアイルは元気良く返事をして頷き、アイラはハヴァン王に押され気味ではあったがきちんと言葉を受けとめた。

 双子がきちんと返事を返すとハヴァン王は大臣に許可証を渡すように命を下し、大臣は金箔が貼られている高級羊皮紙で作られた許可証を持って絨毯の上に立つ。


「大臣、二人に許可証を」

「分かりました。アイル、アイラ前に出てきなさい」


「これで目的が達成できるねアイラ!」

「やったねアイル。私達の旅の範囲も広がるよ」


 大臣から名前を呼ばれると双子は大臣と向かい合うように立ち、アイルが関所の許可証を受け取った。

 高級羊皮紙など生まれて初めて持つので双子はその手触りに感動を覚えていた。


「ふおおおっ! すごーい、高級品だよ高級品!!」

「こ、興奮しすぎだよアイル。や、破ったら絶対に駄目だからね」


 興奮しながら高級品だと小躍りしているアイルを落ち着かせようとするアイラ。喜ぶ気持ちは理解しつつもやはり破ってしまわないのか心配なアイラはおろおろとしていた。


「二人はこのまま旅立つのか?」


「そうだよ。もっと色々な場所に行こうと思っているんだ!」

「あ、はい。いちおうはそのつもりです」


 素直に喜んでいる双子が可愛いのか二人のやり取りを少しの間見物していたハヴァン王だったがこのまま旅立つのかと双子に問う。

 充分に高級羊皮紙の手触りを堪能したのか双子は大きめの皮袋に許可証を入れてそうだと頷いた。元々、ファゴット王国に滞在していたのも関所を通過する為の許可証を手に入れる為だった。それを果たした以上、留まる理由は双子にはない。


「そうか。私はそれを止める事はせん」


「それじゃ行こう! 今から急いで行けばお昼ぐらいには関所に着くよ!!」

「楽しみだよね、関所を越えた先が!」


 蜘蛛を退治する事が出来た事が要因なのか以前と比べて関所を越えた先の事を考えワクワクしているアイラの姿があった。双子はハヴァン王や騎士エルドークにお礼を告げてファゴット城を後にした。

 城下町を出ると町中は盗賊団が捕えられた事と西の森を縄張りにしていた主が倒された事の二つの話題で持ち切りだった。特に森の主を倒したのが幼い子供という事もあって既に双子はファゴット城下町では有名人の部類に入るようになっていた。


「この子供達の両親はきっと誇りをもっておるじゃろうな」

「この子たちなのか。勇気ある子供だな」

「男の子はきっと凄腕の剣士になれるわね。将来が楽しみだわ」


 老若男女関係無く人々の視線は森の主を退治した双子へと向かう。

 城下町を歩く双子はその視線に気づいてはいたが視線の多さに慣れずに少し小走りになっていた。特にアイラはあまり人から見られるのは好きではない、寧ろ苦手なのでアイルの右袖を手で掴んでいた。


「なんでボク達見られてるのかな?」

「知らないよぉ…ぅぅっ、恥ずかしいのに……」


 城下町を出る頃には人々の視線にアイルは慣れていたがアイラは頬を紅潮させたままであった。

 城のテラスからはハヴァン王がオペラグラスを使用して双子の事を見ていた。それが気になったエルドークはハヴァン王にどうしたのかを聞く。


「ハヴァン王、如何なされましたか?」

「あの少年が持っていた剣を私は見た事がある。もっとも本の中の挿絵でだがな」

「星天のエルトリアという叙事詩でしたよね。今でも学者たちの中では話題になっていますし歴史上に実在していた人物だったという意見が多いみたいですし」

「うむ、実際に遺跡からは遺物も見付かったりしていると他国の王から話は聞く」


 ハヴァン王が子供だった頃に何度も読み返した“星天のエルトリア”という題名で世界中に広く知れ渡る叙事詩。その物語に登場する主人公エルトリアが持つ剣とアイルが持つ剣が似ている事にハヴァン王は気付き気にかけていた。それをハヴァン王の口から聞いたエルドークは今でも叙事詩は世界中の学者たちの中で注目を浴びており、学者たちの考えも分派されている事をハヴァン王に伝える。

 ハヴァン王も他国に対談しに行った際、遺跡から叙事詩に登場した道具が遺跡で発見されたという話を聞いたとエルドークに言う。


「実際にこのセレナーデ大陸にはセレナーデ王国という国が栄えていましたからね。あの叙事詩はどこか歴史を語っている様にも思えます」

「もっともそれを私達が知る術はないがな。長い時間をかければより信憑性が上がるだろうが今は憶測にすぎん」


 この世界の歴史にも共通する点が叙事詩の中で描かれているので奇妙に思えるとエルドークが言うとハヴァン王は野暮な問題だと言い王室へと戻って行った。

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