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双天のステルラ  作者: なまけもの
世界への旅立ち
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第1話

とうとう掲載してしまいました。

活動報告のアレは気にしないでくさいね、そういう時もあります。

それでは双天のステルラ始まります。稚拙な文章ですが皆さん宜しくお願いします。

 雲一つない清々しい青空。穏やかな風が吹けば大地に根を張る木々が伸ばす枝に付いている新緑の葉が小さく揺れる。

 ここは山奥の小さな村。他国に自慢出来るような目立った特産品や世界に名だたる偉人が輩出された事は一度もない。もっともそのお陰でこの小さな村は平穏な日々を送っている。そんな普通といった単語が非常に似合う村にも小さな学校がある。しかし、学校と呼ぶには粗末で屋根はなく村の大人達が造った木材の椅子や机に座って授業を受けている。受けているのは約十数名の子供達が通っている程度だ。

 その中で机に伏せている肩に届く程度に伸びた金髪が特徴の少年。見た目は十歳前後の少年は先生に気付かれないように教科書を縦に置いて熟睡している。その隣の席には少年と同じ金色の髪を伸ばして一本だけアホ毛が立っている少女が少年を起こそうとペンで突いていた。


「アイル…起きないとまた先生に怒られちゃうよ」

「むにゅにゅっ…後五分だけ……」


 金髪の少年=アイルを突く度に少し体が反応しうわ言を呟く。少女は気持ち良さそうに熟睡しているアイルを起こすのに少々躊躇ってしまう。


(う~…寝顔もっと見ていたいよぉ)


 理由はただ一つアイルの寝顔をもっと長い時間見ていたいだけである。もっともそれを顔や口に出す事はなくただ黙ってアイルの顔を見るだけである。

 少女がアイルを突くのを止めて黙って見続けていると大人の女性が寝ているアイルの机の前に教科書を持って立った。そして、それでも近くに来ても起きないアイルを見て女性は呆れつつも教科書を丸めてアイルの頭を叩き怒った口調で起こす。


「アイルは何時ものように授業は熟睡か。コラ、起きなさいアイル!!」

「ふがっ!? な、何が起きたの?!」


 突然の出来事に目覚めたアイルは吃驚して辺りをきょろきょろと見回す。

 そんな挙動不審のようにしきりに周りを見回しているアイルの上から再び女性の声が聞こえる。


「アーイール、貴方また寝てたわね」

「あ、あははは…先生もしかして怒ってる?」

「怒ってないわよ。ただ、一生懸命に教えてる先生は寝られると悲しいなぁ?」


 アイルは居眠り常習犯で幾度となく注意されているが全く反省することはなく先生を困らせている。もはや注意された回数は二桁を超えて三桁にまで達しそうな勢いなのだが先生は諦めないで注意している。この村では最早、名物になっている。


「あれなんだよ先生! こんな天気の良い日はやっぱり外で運動したくなるから!」

「アイルは寝てたわよね?」

「うっ、そうだけど……」


 必死に言い訳を考えるアイル。その言い訳は天気が良いので外で動き回りたいというものであったが先生には通じずに寝ていた事を逆につかれてアイルは押し黙る。

 何時もの光景にアイルの隣の席に座っている少女が口を開けておどおどとしながらアイルの味方をする。


「私が…アイルを起こさなかったから……」

「う~ん、アイルが授業中に寝てるから悪いものでアイラは悪くないわよ」

「だけど…アイルのお姉ちゃんだから私」


 アイルとアイラは双子の姉弟で同じ髪色であり顔立ちも似ている。もっともどちらが先に誕生したのかまではハッキリと分からないままであるがアイラが姉だ。アイルは特にそれを疎んじる事はなく姉弟仲は非常に良い。

 先生から注意されている当本人であるアイルよりもアイラの方が反省しているので先生はこれ以上は何も言わなかった。このまま無理に注意をし続けても授業を行う時間が削られるだけなので先生は再び教え始めた。



 一日の授業課程が終わる頃には外は夕暮れ時。夕日はゆっくりと地平の彼方に沈んでいき、それを背景にアイルとアイラは一緒に同じ家に帰宅中でアイルは岩を積み上げて作られた塀の上を歩き、アイラはその隣の歩道を歩く。

 居眠り常習犯の弟アイルに先生を困らせたら駄目だと注意する。


「アイルも先生にあんまり迷惑かけたら駄目だよ?」

「なははっ、でも今日はそんなに寝てないよ?」

「毎日何度も寝るのは眠り過ぎだよ」

「そうなんだけどさ~、勉強はやっぱり苦手だなんだよボク」


 アイラに注意されて後頭部を両手で押さえた状態で今日はあんまり寝てないと胸を張るアイル。それでもアイラに寝過ぎだと言われて観念して口を尖らせて勉強が苦手だからと本音を口にした。反面、アイルは大人よりも遥かに高い身体能力を有している。故にそれは村の者からは一種の天賦の才とも噂されている。逆にアイラはアイル程の身体能力はないが特別な力を持っていた。

 普通の村ではこの二人が普通ではないという事ぐらいだろう。そもそも山奥の村はアイルとアイラにとっては生まれた土地ではなく、気付けばこの村で暮らしていた場所。そう言う意味では謎の多い双子ではあるが老夫婦に拾われ暮らしている。

 村からも少し外れた所に小さな一軒家が建っておりそこがアイルとアイラが住んでいる家だ。後ろには森が続いている。


「ただいまーっ!!」

「ただいま、お爺ちゃんお婆ちゃん」


「あらあら二人ともお帰りなさい」

「お帰りアイル、アイラ。今日も頑張ろうな」


 家に到着すると元気良く挨拶をするアイル。アイラも相手に聞こえる程度の声で挨拶をした。

 すると白髪が目立つ優しそうな老婆と老爺が出迎えた。老婆の方は杖で体を支えておりあまり自由に遠出する事は出来ないでいるが老爺は白髪が目立つもののまだ元気そうである。


「今日もボク頑張るよ!」


 老爺から話を聞くとアイルは今日も頑張ると言って急いで自分の部屋へと向かって走って行った。もっともそんなに大きくないので走るスペースはあまりない。どたどたと忙しいが自室から出てくる時に一本の木刀を用意していた。大きさはアイルの身長に見合った長さである。

 アイルは毎日剣の稽古をしている。老婆の夫は若い頃、剣士の師範で数多くの兵士を鍛え上げてきたのだが老いて引退した。しかし、非常に身体能力の高いアイルを見て育てたいと思う気持ちが芽生え稽古をつけている。


「お婆ちゃん、私達も一緒にいこ。私がお婆ちゃんを支えるから大丈夫だよ」

「ありがとうねアイラ。それじゃ行こうかね」


 アイルと老爺が表に出たのを見送ると見学しに行こうとアイラが誘う。歩行も杖では心許ないが杖を握る逆の所でアイラが老婆をの腰を支えて表へと出る。

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