第5話
第5話
「そういうことか」
「被害者はなかなかとユーモアのある方ですね」
「おい、俺にもわかるように……」
「わかっている。今説明するさ。犯人は美野っていう人だ」
「・・・・・・本当に?何故?」
あまりにもあっさりと言うので、光翼は驚きを隠せない。そんな彼を尻目に、一志は理由を話し始めた。
「彼らは全員スポーツが好きだった。そして、容疑者にはそれぞれ好きなスポーツと、そのチームがいる。だから、美野だ」
「もう少しわかりやすく頼む」
一志は光翼の反応を楽しむようにゆっくりと満足そうに頷いた。
「今朝の会話からもわかるとおり、スポーツには、応援する人に名称がついている。野球はファン、サッカーはサポーター、そしてバスケットボールはブースター」
「それが、どうしたっていうんだ」
「君はやはり学がないね。そういう意味では脳の解剖をしてみたいよ」
「気味悪いこと言ってないで教えろ!」
一志はやれやれと肩をすくめて、ロケットの写真をつまみ上げた。
「問題はロケットの発射台。この写真を見るに、これは多段式ロケットだ。このような多段式ロケットに於いて、発射台は推力増進装置。これを英語にすると、どうなるか……」
「何だ!?」
「……少しは自分で考えろ。まぁ、今は時を争うから教えるよ。答えは、ブースター。バスケットボールのブースターである美野を示すと思わないかい?」
「……!」
光翼は自分の全身が鳥肌に包まれるのを感じた。そういうことか。それならば謎が解ける。
「あくまで推測にすぎない。証拠を上げるのは君たち警察の仕事だ」
「一志、サンキュー」
「謝礼は解決後で」
「課長は最近ヅラを新調したぞ」
「詳しい話を待っている」