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起こして

「おはよう、琥珀~!」

「きゃあっ!?」

 朝、いつもみたいに後ろから突撃してきた友達に過剰に驚いてしまいました。

「そんなに驚く……?」

「昨日、怖い映画見ちゃって……」

 思い出すだけで恐ろしいくらいです。流石、評価の高い話題の作品です。

「クマもすごいけど……大丈夫なの?」

「うん、大丈夫……!」

 嘘です。今すぐにでも寝ちゃいたいくらい眠たいです。

 いくらショートスリーパーといえど、私のルーティーンの中にある最低限の睡眠時間を取っていないと、寝不足になります。

「まぁ、無理しないでね」

 そう言って、友達は別の子のところへ行きました。

 朝休みももうすぐ終わりそうなので、今寝てしまってはもう起きれません。

 トイレに行って顔を洗って、何とか目を覚ましたつもりでしたが……


「ふぁ……」

(私、今寝ちゃってた……?)

 1限目の国語の授業。穏やかな古文なため、情報量も少なく、目を閉じたら寝てしまいます。

 手の甲をつねったりして、無理やり起きようとしましたが、眠いままです。

 先生は、普段は温厚ですが怒ると怖い人です。それに私のせいで授業が止まったりしたらいたたまれません。

 ふと、夜西くんのほうに目線を向けると、なぜか目が合ってしまいました。

 私、今クマがすごいのに……

 慌てて目を逸らすと、また紙が飛んできました。

(なんだろう……)

[大丈夫?]

 そう書かれていました。夜西くん、せっかく起きて真面目に授業を受けているのに……

[大丈夫です!]

 裏に書いて、夜西くんの机に置きました。

 それを読む夜西くんの反応を少し見ていましたが、なんだか微妙な反応をしていました。

 何だか、不満そうな……?

(何か気に障るようなことしたのかな……)

 とりあえず、大丈夫と言ったからには起きていなくてはいけません。

 もう手の甲をつねっても、目は閉じてしまいます。

「有宮さんっ、教科書見せて!」

 なぜか先生にも聞こえるくらいの声量で、夜西くんが言いました。

(教科書、なかったっけ……)

 突然大きい声を出したため、先生もみんなも不思議そうにしていましたが……

[起こしてあげるから]

 教科書を見せるために、机をくっつけたあと、私のほうにこんなメモがありました。

 これじゃあ、この前と立場が逆です。

(それに、意外と……近い)

 机をくっつけると、距離が近いです。

 おかげで、ちゃんと起きていられました。

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