寝れない理由
「寝られない……というのは?」
「あんまり、いい夢が見られなくってさ……」
悪夢を見てしまう、ということでしょうか。でも、いつも教室では気持ちよさそうに寝て……
「でも、人が居るところだと、ちゃんと寝られるんだよね。だから、学校ではすぐ寝ちゃって……ごめんね、有宮さん」
「いえいえっ、それぞれ理由がありますし……大丈夫です」
夜西くんは、安心してまたホウキを動かし始めました。私も、机を動かして、一緒に掃除をしました。
「有宮さんは、どうしていつも俺のこと助けてくれるの?」
私が運ぼうとしていた机を、代わりに動かしながら、夜西くんが言いました。
「どうしてって……普通に、先生に怒られているのが気の毒だったので……?」
どう答えたらいいのか分からず、とりあえず思ったことを言いました。
「あ、そっか……ありがとう」
微笑んで、夜西くんは教室から出て行きました。
あの笑顔が、優しくて、そして無理矢理の笑顔に見えたのは、気のせいなのでしょうか……
「……私も、帰ろうかな」
「今日は、何を見ようかな……」
夜の楽しみ、1人でドラマを見る時間です。ほぼ、見たいドラマは見てしまって、とりあえずおすすめに出てきたものをいつも見ています。
でもなぜか、今日はホラー映画しかでてきません。お兄ちゃんが見たのでしょうか。
「……えいっ」
他に見たいものも特にないし、ホラーはあまり見ないジャンルなので、とりあえず見てみることにしました。
選んだのは、どうやら心霊現象、ポルターガイストがテーマのものなようです。
「うっ……ひゃっ……んぐっ……」
夜で、家族はみんな寝ているので、起こさないように声を我慢しています。
結構怖いので、見るのをやめることにしました。
「お水飲もう……」
喉が渇いて、キッチンに水を取りに行きました。
使ったコップを洗った後、水がシンクに落ちる音が気になって、怖くなりました。
部屋に行くために上る階段も、途中で曲がっているため、その先が禍々しいオーラを放っています。
手すりを掴んで、なるべく見ないようにして部屋に入りました。
今日は、もう諦めて眠ることにしました。
「……ん」
やっぱり、怖くて眠れません。もともと眠らなくていい体質なのと、小さな物音が気になります。
「寝れないっ……」
いつも、ドラマを見終わった後は、普通に寝るようにしています。ですが、いつもならドラマを見終わって寝ている時間も眠れませんでした。
ショートスリーパーですが、最低限の眠る時間は必要で、それが確保できないと、私の場合は単なる寝不足となってしまいます。
明日は普通に授業もあるので、少し不安ですが、イヤホンで音楽を聴いて過ごすことにしました。