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駒沢君の好きな女子ランキング四位に食い込みました

 私の二番目に好きな男子駒沢君。その駒沢君の好きな女子ランキングで私は何と四位らしい。


 これは喜ぶべき事なのか。悲しむべき事なのか。私は自分の心に問いかけたが、その返答はこうだった。


「意外に上位じゃね?」


 駒沢君は申し訳無さそうな表情で私をちら見する。


「······ご、ごめん。桜田。気分悪いよな?」


「え?な、なんで?絶対に圏外だと思ってたから、そんなに上位でむしろ驚いているんだけど?」


「そ、そうなのか?」


「うん。だって私、特別かわいいって訳じゃないし、平凡を地でいってる存在だから」


「そ、そんな事はないよ」


「え?」


「桜田は普通にかわいいと思うよ。あ、これは俺の意見だけど。俺達男子と一緒に話したり遊んだりする時も変にぶりっ子しないって言うか。素のままでいるって言うか」


 ······何だろう。これ。駒沢君の台詞に急に胸の中がザワザワして来た。あれ?これって私、今褒められているの?


「······その。これもいやらしくて失礼な言い方だけど。桜田はスタイルも良いし」


 す、スタイル?それってつまり、胸とお尻って事?わ、私そんな巨乳じゃないんですけど?


「は?ち、違うよ!そ、その。桜田は足が長くて綺麗だなって思ってて」


 駒沢君が顔を真っ赤にして弁明する。こ、駒沢君ってこんな可愛い顔をするの?私は身体的な事を指摘されたにも関わらず、駒沢君の必死な表情に見惚れていた。


「······駒沢君。上位三人が誰が教えてくれる?」


「は?ちょ、ちょっとそれは勘弁してくれよ。流石にそれはキツイいって!」


「お願い!秘密は絶対に守るから!知りたいの。駒沢君の好きな女子の傾向を!」


 私は何を言っているのか自分でも分からなかった。自分よりも上位にランキング入りしている女子を聞いて何になると言うのか。


 そんな事を聞いても自分が惨めになるだけじゃない?私の中のもう一人の自分がそう警告する。


 だが、私は同時にこうも思っていた。今この時。駒沢君とのこの非日常的な会話を打ち切りたくないと。


 この場から立ち去り難い何かを感じていた。


 私の必死の嘆願に、駒沢君は諦めたように情報公開をしてくれた。それによると、駒沢君好きな女子ランキング一位は、学年でも美人と名高い女子だった。そしてニ位も可愛いさでは男子に高人気の女子だ。


 これには女子である私も妙に納得した。まあ、普通の男子ならそこに行くよねって感じだ。


 だが、三位の女子は普通な。むしろ私よりも地味目な同じクラスメイトの女子だった。駒沢君の話では、一位とニ位の女子は殆ど憧れのレベルで、現実的に付き合えるとは思っていないと言う。


 では三位の地味目女子の平屋さん(あ、名前言っちゃった)が好きな理由は?


「平屋とは同じ図書委員でよく話すんだ。平屋って大人しそうだけどよく笑う娘でさ。お笑い番組が好きで話す事も面白いんだ」


 ······あのクラスで無口な平屋さんが?よく笑う?話が面白い?私は駒沢君の話を半信半疑で聞いていた。


「······その。人を好きになるってさ。その人を知るって事だと思うんだ。俺」


 放課後の屋上での駒沢君との会話は、私が予想だにしなかった方向に流れ始めていた。


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