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第1話 桜子とヒロ

「ヒロ君、ご招待してくれてありがとう」


 黒髪の可愛いらしい幼女が美味しそうに秋刀魚サンマの塩焼きを食べながらお礼を伝える。

「桜子ちゃんが喜んでくれて嬉しいよ」

焦げ茶色の髪のハンサムな幼児が答える。



 可愛らしい幼子たちのやり取りが微笑ましい。

桜子は広大な武蔵領を統治する武蔵むさし家の1人娘で、ヒロは武蔵むさし家の領地に囲まれた春狩はるかり領を治める春狩はるかり家の一人息子だ


 武蔵むさし領は埼玉県と東京都と横浜と川崎に相当し、春狩はるかり領は目黒区に相当する。

隣り合う領地の同じ年齢の子供同士、生まれた頃から交流があり、2人はとても仲の良い幼なじみだ。


「ヒロくんの秋刀魚サンマ、とっても美味しい!」

今日はヒロが桜子を春狩領の秋刀魚サンマ祭に招待してもてなしている。桜子は広大な領地の跡取り娘だがB級グルメが大好きだ。もちろん庶民に人気の秋刀魚サンマは桜子の大好物である。


「桜子ちゃんは美味しそうに食べるね」

「ヒロくんの秋刀魚サンマ、美味しいよ!」


 桜子の両親と祖父母もヒロの両親も幼い2人を優しく見守っている。隣り合う領地同士、桜子とヒロの代も争うことなくやっていけるだろう……。


── そう思っていた頃もありました!



*******


「3歳の頃の秋刀魚サンマ祭は良かったですなあ…」

「まったくですねえ…」


 クソデカため息をいたのは桜子の父親とヒロの父親だ。


「うちのヒロがひねくれてしまって申し訳ない…」

「いやいや、うちの桜子ちゃんも意地っ張りで…」

「そもそもヒロのヤキモチが原因でギクシャクするようになってしまったんですよねえ…」

「いやいや…うちの桜子ちゃんもヒロ君にぞっこんラブなのは、我々から見ても明らかなのに “もうヒロなんて嫌い!” なんて意地を張って…」


「うちのヒロが悪い。桜子ちゃんを可愛がる皇太子殿下に嫉妬して桜子ちゃんに意地悪な態度を取るとは…情けない息子ですよ」


「僕の母が内親王だったから割と近い親戚だし、別邸がうちの領地にある関係で定期的に交流はありますからね。殿下はお立場もあって、誰にでも分け隔てなくお優しいので桜子ちゃんが特別という訳では無いし、桜子ちゃんも現実と殿下は別とわきまえているのですが…」


「殿下が見目麗しくて優秀過ぎるのもヒロの柔らかいところに刺さるようです」

「ああ、それは僕も男として分かるんだ」

「私もですよ、でも殿下ですから…」


 2人がクソデカため息を吐いた。

武蔵領… 現在の埼玉県と東京都

春狩領… 現在の目黒区


※ 参考地図 ※

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BB%A4%E5%88%B6%E5%9B%BD#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Ancient_Japan_provinces_map_japanese.gif

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