#Ⅷ
隊長は拳を構え、きれいな直線を描きながら右腕を将校の顔に突き出した。その拳は見事に将校の眉間にぶち当たり、もろに食らった将校は痛みを感じる前に気を失ってしまった。僅かな時間の中で行われた一連の流れに、隊長以外の全員、シャルルたちでさえついていくことが出来なかった。将校が倒れたとこを見て、初めて危機を感じた兵士たちは背中に背負ったカービンライフルを構えようとしたが、背中に手が触れる前に、シャルルはボディーに膝を、アレックスはボディーブローを決めた。
「行くぞ! ありったけの物資を持って車両に迎え!」
そこからはとてつもない速度で攻撃を始めた。建物の中の物資倉庫にいた兵士を瞬殺し、物資をとり、車両に乗った。ついてきた兵士も、シャルルの狙撃によって牽制された。この一連の流れで、誰一人として死ななかった。
「本当についてきてくれるとはな。」
「・・・隊長の命令は絶対ですからね。」
「フフフ、面白い。でももう後戻りはできないぞ。」
「気にしませんよ。過去は振り返らない主義なのでね。」
「振り返りたくないですしね・・・。」
「・・・・・・ありがとよ。」
この騒動は世界的に大事件となりシャルルたちは追われる身となった。
しかし、この物語ではまだ序章にすぎない。
本当の真実を掴むため、しかし彼らはそんなことを知らず、今はあてもなく車を走らせていた。