#Ⅶ
「どういうことだぁぁぁ!!!」
まさに怒号、隊長は叫んだ。世界の秘密にして世界の悪事であるこの機密文書を、彼らは見つけてしまった。
「隊長、落ち着いて。」シャルルは諭した。
「この文書を上の方に見せれば、どうにかしてくれるでしょうよ。」アレックスは提案した。
「いや、待て。」シャルルはあることを疑問に思っていた。
この文書が反乱軍の手にあるということは、既に何度か軍の手に渡っていると言うことだ。しかし、だとしたらなぜ自分たちや全世界に報道されなかったのか。
シャルルはその事を警戒していた。
が、その不安も僅か数分後に消え飛ぶことになる。
廊下から聞こえる数人の足音。
「どうした! 声が聞こえたが。」
そこにいたのは、将校とその部下二人。
隊長は、文書と共に問うた。
「将校さん、これ・・・」
「・・・・・・・」
シャルルは、今そこに存在する気配を感じた。
銀色の一閃。
隊長、と叫ぼうとしたが、隊長も既に気づいていたらしく、僅かな動きで避けた。
その銀色の後ろに見えたのは、将校の、厄介そうに、そして悪意に満ちた目であった。
「余計なもの見つけやがって。」
「あんた、やっぱり・・・。」シャルルが反論しようとしたが、その横から凄まじい勢いで何か飛んできた。それが拳であるのは将校に当たってからである。
ボコッ。
肉と肉がぶつかり叩く。
もはや隊長に上司部下の関係などなく、己の正義を貫くための拳を振るうのであった。
「・・・この国は腐ってたようだ、正当防衛もなにもねえじゃねえか。」
「隊長。」シャルルはうなずく。
「俺たちゃよ。」
「ああ。」アレックスは察する。
「反乱軍だ!!」