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#Ⅵ
エドワード・猿影・マルコウを一言で表すのであれば、それは、『正義の人』である。
幼い頃から、家族のため、友達のため、恋人のため、はたまた、見も知らない人のため、己を削り、そして磨いてきた。
彼はまさに善人であり、それは、偽悪者である。それ故、彼は己の正義を見間違えたときに、狂う。人として、生物として、ヒーローとして、狂う。それは彼が一番恐れていることであり、もう二度と出会いたくない事実である。
だが、今まさに、その事実が、彼を襲っている。
エドワードにとっての恐怖。それは、計り知れない怒りでもある。
その文書のタイトルは、
『反対勢力軍事的制裁案』
すなわち、大昔、この天星国を建国するに当たって、世界統合に反対した勢力、国家を軍事行動で黙らせる、要するに殺す、ということだった。
この国、天星国が正義だと信じていた、崇拝に等しいほどに信じていたエドワードにとって、裏切られた、ということだった。
やり場のない怒り、悲しみ、恐怖は、声となってどこかへと向かおうとしていた。
彼は、叫んだ。