1.深い白に浮かぶ赤
アリスが殺された日、ワンダーランドでは”アリス様パーティー”が行われていた。アリスはとても豪華な服を着ており、民衆から女王まで皆の黄色い歓声を受けていた。俺はアリス様なんぞ興味なかったので、パーティー会場の端っこで、大親友の狂ったウサギと共に杯ならぬお茶をかわし…
気づいたら知らない場所で倒れていた。
そこは真っ白な空間だった。物もなにもない部屋だった。いや部屋ではない…上がどこまでも続いていた。真っ白な空間の中に真っ黒な天上がどこまでも続いていた。
その真っ白な空間の中…一つだけ、一つだけ違う色が混ざっていた。
それは真っ赤に染まったアリスの色だった。アリスが死んでいたのだ。
俺はとてつもなくびっくりした。なんであの”アリス”が俺の目の前で死んでるんだ!?
俺は動揺を隠し切れず、とにかくなにもすることができないので、ゆっくりと死体に近づいてみた。
ついさっき死んだのか少し体温が残ってた。アリスの顔は何故か少し笑っていてとても不気味だった。
しかしアリスの手元を見た時に俺は電流が走った。彼女はダイニングメッセージを残していたのだ、
”mad hatter...f”
帽子屋…帽子屋…帽子屋!?
俺は何故自分の名前が書かれているのかわからなかった。
なんで…なんで俺の名前が??俺が殺した?いやいやいや!!それだけはない…なんで?何故アリスが死ぬ…?いつ殺した??俺が?誰が?
わけもわからず混乱していて、どうしようもなく死体を見たまま突っ立っていたらいきなり頭を殴られ……
気づいたらここに連れてこられ捕まえられてボコボコにされた…訳らしい…
はぁ、何とも国一番の面倒な犯人にされたみたいだ…このままじゃ…俺は絶対に死刑だな。
だが殺したのは…俺じゃない…!!じゃあ、誰が殺したんだ??何のために??あのみんなが大好きなアリス様なのに一体誰がそんなことを?
俺は色々考えた挙句こうたどり着いた。
…はぁ…とりあえずここからでなきゃ真実は見えねーみたいだ…
俺はとにかくこの牢屋から脱出することにした。