時計台を
「何、お前さぁ、あいつらに何した訳?」
不意に、シリウスは笑った。
『直に解るよ。』
其れだけ言うと後は何も答えなかった。
シヴァンは静かに彼と共に小枝を集めた。
「ここから見えるんだな、時計台。」
シヴァンは時計台を見上げた。
変わらない。町は焼けたのに、、、。
『君は何をしたい?』
又不意にシリウスは笑い出した。
『仕返しなら止めた方が良いよ。』
彼は独り言のようにそう言った後、左手を降り下ろした。
すると、集めた小枝に火が点いた。
『あれは人じゃない。見たまんまの化け物だ。』
澄みきった瞳をシヴァンに向けながら、彼は手招きをした。
『火を見た後で悪いが、寒いからこっちにおいで。』
寒い? 何言ってんだ?
意味深気にシリウスを見た。
気温は十分にある。シヴァンが薄手の半袖を着ていることからも其れは察することが出来る。
なのに、寒い、、、、、?
「俺は寒くない。」
シヴァンはそう告げた。
『いいや、おいで。』
シリウスはやはり手招きをした。
仕方無くシヴァンは彼の元へ足を運んだ。
と、同時に、、、、、、。
「さむっっっっ!!!!!」
彼の体を、冷気が包んだ。
『危ないな。』
驚いて転びそうになったシヴァンを支えようとしたシリウスを一瞬の音が差し込んだ。
時計は未だ動いてなかった。