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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤の行動(6)

 都南は、まるで悠真の考えを見抜いているかのように、不敵に微笑んだ。


「俺は、かつて術士だった。は、野江や佐久と同じようにな。でも、俺は二人とは違う。後で教えてやるよ。俺は、二人とは根本的に違うんだ。だから、紅は俺を呼び戻したんだろうな」


都南は言うと、身をひるがえした。


「俺に与えられた役割は、秋幸に俺の術の使い方を教えること。野江や佐久、義藤とは異なる使い方だ。そして、悠真、お前を捕まえておくこと。俺は、柴のように甘くはないぞ。さっさと来い」


都南は慌ただしく動き始めた。都南の赤い羽織が風を切った。



 都南は多くを語らない。ただ、都南が苛立っていることは分かる。獣のように、ぴりぴりと都南の周りの空気が張り詰めている。

「悠真、行こう」

秋幸が悠真を呼び、秋幸は都南の後を追った。そして、悠真は秋幸の後を追うのだ。


 紅の周りには優れた術士が集まっている。火の国で最も優れた術士「野江」は、火の国の名家の一人娘。一色を見ることができる加工師「柴」は、かつて影の国の戦闘員として育てられた過去がある。紅の最も近くで彼女を守り続ける朱護頭「義藤」は、先代の紅の力を受け継ぐ。赤影として紅を守る義藤の兄「赤丸」は、厄色を持つ。

 術士は特別な存在だ。その力は、術を使えない者と大きな差がある。だからこそ、強い力を持つ術士は、術を使えない只人と同じように生きることはできない。運命や人間関係さえも術の力によって捻じ曲げられる。野江、柴、義藤、赤丸だけでなく、それは都南や佐久も同様なのだ。


 背の高い都南はとても早く歩く。都南の苛立つ雰囲気は、周囲の者を委縮させ怯えさせる。都南は獣なのだ。浅黒く日焼けした肌が、都南の強さを表しているように思えた。それは、大きな柴とも、刃物のような義藤とも違う。歯止めを失った輪が坂を下るように。悠真は都南が危うい存在に思えた。

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