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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤の行動(4)

悠真は野江を見つめた。


野江が何を思っているのか、これっぽっちも分からないのだ。それが大人になるということなのか、と無理にでも悠真は納得しようとした。


秋幸が話す。

「赤の色神は優れた人だ。でも、俺には赤の色神が何を考えているのか分からない。無条件に信じることができない」

秋幸は俯いていた。秋幸の穏やかで平穏な色が揺らぐ。野江は赤い羽織を脱ぐと、そっと秋幸に歩み寄り、その肩にかけた。


「秋幸、あなたは赤に愛されている。それに間違いはないわ。あなたは、赤にどのような感情を抱いているのかしらね。赤はとても強い色。あたくしたちは、赤がなくては生きていけないわ。あたくしは、先代の紅の元で育ち、今の紅とともに戦ってきたけれど、二人は似て異なる存在。それでも、二人とも赤の色神だったわ。あたくしたち、ただの術士が色神の世界へ関わることは、とても恐ろしいことよ。それは神の世界のことですもの。けれどもね、秋幸。あたくしたちは赤の色神と歩むことができるのよ。赤に愛されている赤の色神と一緒に、戦うことができるのよ。秋幸、紅を信じなさい。あたくしたちは、赤の術士よ。そして、紅に認められた赤の仲間なのよ。あなたは赤にふさわしい。あたくしは、柴のように一色を見ることはできないわ。でも、あたくしでも分かるわ。あなたは赤にふさわしい。あなたは、紅に信頼されるに足る存在。紅のことを信じなさい。それが、あたくしたちができる唯一の忠誠なのですから」


野江が秋幸の背を叩く・


「紅は秋幸のことを信頼しているわ。紅と一緒に戦ってきたあたくしには分かるのよ。一介の術士であるあたくしたちに、色神の考えは計り知れないけれど、あたくしは彼女のことなら分かるは。紅は、あなたを信頼しいている。あたくしたち、旧知の赤の仲間に、あなたを育て守るように指示しているのよ。強くおなりなさい。紅のために。真に紅のために戦う力を身に着けたとき、あなたは赤を与えられるにふさわしい存在。あたくしたちの次に、赤の羽織を持つ存在になるのよ」


野江の言葉はとても暖かい。陽緋として、最前線で闘い続けた彼女の言葉は暖かく、とても強い。


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