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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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火の国の流れ者と色読(1)

長らく休止をしていました。

この話から、流の国のアンナが出てきます。消えた赤の仲間の行方は……

 アンナは火の国に足を運んだものの、森の中に潜んでいた。黒の色神が火の国の中で暴れている。それを察知して、アンナは身を隠していたのだ。

 アンナが流の国から外に出たのは、初めてのことだ。火の国の衣服(着物)を纏うと、アンナは誰がみても火の国の民だった。黒い髪と黒い目は流の国の中では異質であるも、火の国では自然なことなのだ。ところ変われば、人も変わる。というが、外見もその通りだ。アンナならば、火の国の都を歩いても、誰からも怪しまれないだろう。アンナは自らの体の中に流れる火の国の民の血を感じた。


 アンナが身を隠していることには理由がある。黒の色神と白の色神の動向を探るためだ。最初に行動を始めたのは、黒の色神だ。黒の色神は何を思ったのか、火の国で黒の石を使ったのだ。暴れる異形の者の影を感じつつ、アンナは森に潜んだ。

 しかし、アンナは潜んでいるだけではない。かつて、流の国が火の国に設けていた活動拠点。アンナはそれを探した。流の国の術士は、まだ火の国に潜んでいるはずなのだ。定期的に、忘れたころに連絡がくるから間違いない。その連絡があるから、流の国は次の術士を火の国に送らないのだ。


――何せ、火の国は鎖国をしているから。


火の国は湿度が高い。雨が多いからなのかもしれない。日に日に暑くなる気温。そして、多い雨。雨が多いのは、季節がらなのかもしれない。

 アンナは森に潜みながら、足を進めた。メディラから、大方の場所は聞いているが、不慣れな土地でその場所を探し出すことは骨の折れることであった。だから、アンナは道に迷わないように、川沿いを歩んでいた。流の国の活動拠点を探して。拠点には、流の国から火の国へ侵入している術士の動向がわかるものがあるかもしれない。少なくとも、アンナが頼ることができるのは、見ず知らずの術士なのだ。


――乱される五感。


 アンナは、何かの異変を覚えた。この森は何かがおかしい。そう思ったのは、都に近い森なのに、人の手が全く入っていないからだ。人の手が入っていない、この森は、まるで人を拒んでいるかのようであった。秘密もなにも、この森の中に隠してしまう。


 アンナが歩んでいると、森の中で黒の色神が暴れているのを感じた。アンナは色を見ることに長けていた。それが、色図を使う色読の役目なのだ。


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