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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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火の国の夏に降る雪は白く積もる(12)

 赤の色神は目を細めて天を仰いだ。その姿が何とも美しく思えた。細い首にかかるのは、まっすぐで艶やかな黒髪だ。そして、赤の色神は言った。


「少しの戯れを許してくれ」


言うと、赤の色神は独り言のようにつぶやいた。

「義藤、ちょっと来てくれ」

赤の色神は紫の石を使ったのだろう。ソルトは赤の色神が何をするのかわからなかった。すると、赤の色神は次々と術士を呼び始めた。

「野江、秋幸、遠爺、ちょっと来ないか?春市、千夏、お前たちも来ないか?柴、萩たちが目覚めたなら連れてこい。葉乃、源三、芳江、悠真も呼んでくれ」

紅は次々と仲間を呼んだ。それが何を意味するのか分からない。

 ソルトは紅と出会って時は短いが、紅という人がどれだけ仲間を思っているのか分かっているつもりだ。


「何をするつもりだ?紅」


黒の色神が怪訝そうに問うと、赤の色神はけらけらと笑った。


「ちょっとした遊びさ。なんだかはっきりしない日々が続いているだろ。戦いが続き、赤の術士たちは傷つき、疲弊している。いまだに佐久の行方は知れず、都南は佐久が不在なことで心を乱し、行方がしれない。新たな仲間を得たとはいえ、一度は刃を交えた者同士。一朝一夕で親しくなれることは難しい。それでも、私たちは団結して進まなくてはならない」


赤の色神の一言一言が広がりを持ち、重く響く。赤の色神の考えの深さが伝わり、赤の色神が何を思っているのか理解できずにいた。


「義藤、待っていた」


赤の色神は一点を見つめたまま言った。赤の色神の視線の先には何もない。しかし、振り返ったソルトは、強いが優しい赤色を見た。赤の色神は気配だけで、義藤の姿を察知したかのようだった。義藤は流れるような仕草で部屋に足を踏み入れた。膝をつき、部屋へと入る。その姿の一つ一つが洗練されているように見えた。


「どうかしたのか?」


どこかくだけた口調の義藤に赤の色神は笑いかけた。


「ちょっとした遊びさ」


言って、赤の色神は何かを義藤へ投げた。義藤はそれを片手で捕ると困ったように苦笑した。


「水色の石?」


義藤が困惑したかのように言い、紅は嬉しそうに笑った。

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