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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
737/785

柴と萩の信じる赤(6)

 松が目を覚ました。そして、しばらくすると、衝立の向こうで杉とベルナが目を覚ましたようで、衝立はどけられた。


「千夏、ありがとう。後は問題ない。春市の仕事の方へと言ってくれ。俺たちみんなが仕事をさぼっているからな。申し訳ない」


柴が言い、千夏は頭を下げて退室した。柴、萩、杉、松、ベルナ、そして悠真が向かい合って座っていた。

「萩、千夏もあの養成所の出身だ。もう一人、春市もいる。赤の色神は、俺たちを救ってくれた」

柴の言葉に萩が頷いた。

「礼を言い足りない。――それで、柴。シュドリードはどうした?」

シュドリードは彼らに指示を出していた男だ。

「シュドリードは、赤影が管理している。あいつらに任せておけ。下手に逃がしたりしないさ」

そして、口を開いたのは松だった。

「俺は目覚めたとき、白の色神を襲撃しました。あの時、白の色神をかばった人は?」

長身の松は、洗練された雰囲気を持っていた。義藤と戦っていた時のことを思い出すと、悠真は身が縮まった。彼は強い。未熟者の悠真にとって、薬の力を借りたとはいえ義藤と渡り合った松は、怖いくらい強いのだ。

「何とか、問題ない。といったところだな」

柴は苦笑した。


 影の国の術士の彼らも、普通の人だ。人であることに変わりない。道具などではない。柴は言った。

「なあ。萩。萩だけじゃない。松、ベルナ、杉。お前たちは、赤を信じてくれるか?赤を信じて、赤の色神紅を信じてくれるか?紅がどんな決断を下すか分からない。お前たちは、異国に行きたいかもしれない。でも、俺は火の国に残ってほしい。火の国で、その力を紅のために使ってほしい。その一色を見ているから。俺は、お前たちの一色を信じたい。――もし、赤を信じてくれるなら、俺は紅に掛け合う」

萩は答えた。

「俺は火の国に残る」

「杉は、萩と残る」

杉が答えた。

「俺も、この火の国に残りたい。でも、ベルナが出ていくというのなら……」

松がベルナを気にかけたが、ベルナは言った。

「**********」

聞き取れないのは、悠真が紫の石を使えないからだ。

「言葉は時間をかければ覚えられる。柴、俺たちは皆で残ることを望もう」

萩が柴に言った。


 赤を信じ続けた萩らしい言葉だった。

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