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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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柴と萩の信じる赤(3)

 春市と千夏は、影の国の養成所にいた。それは、まぎれもない事実だろう。

「あの養成所を破壊したのは、先の赤丸だ。先代の赤丸は、紅の指示で養成所を破壊した。俺が場所を教えてから、養成所の場所は変更されていたが、先代たちは見つけ出したんだ。そして、養成所は赤丸の手によって破壊された」

柴は続けた。


「見つからなかったはずだ。萩は、もう、火の国から連れ出されていたのだから。先代は、戦っていたんだ。影の国と戦っていたんだ。俺を救ったように、千夏と春市も救ってくれたんだな。そして、今の紅が萩を助けてくれた」


柴が何を思っているのか、悠真には想像できない。

「先代は、戦っていたんだ。影の国、いや庵原太作と戦い続けていたんだ。影の国から脱走した俺を通じて、その存在を知った。二十年前、庵原太作の財源から襲撃を予見した浅間五郎。養成所の破壊。戦い続けていたんだ。十年前の襲撃で、先代は影の国に、庵原太作に敗れた。そして、二年前、俺たちは大きな痛手を負った。そして、今回……」


悠真は浅間五郎という名を思い出した。二十年前、庵原太作のことを探った存在。そして、死んだ人。名を変えた人。一体、誰なのか。悠真は分からない。浅間五郎の正体については、柴が握りつぶしてしまったからだ。


 萩が目を開いたのは、そんな会話の途中だ。柴が萩にすり寄った。

「萩、大丈夫か?」

大きさがある、大人の柴が慌てたような、子供に戻ったかのような、喜びを隠しきれない表情だった。

「柴。柴なのか……。俺たちは、助かったのか?」

柴は大きく頷いた。

「影の国から、ようやく解放されたのか……」

萩は安堵したように息を吐き、そして身を起こした。

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