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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と医療(10)

 紅は氷の散らばる部屋へと足を踏み入れた。

「千夏、四人の状態はどうだ?」

紅が言うと、千夏は頭を下げて答えた。

「私には理解できない部分が多々ありますが、白の石で命が救われたのは確かなようです。ここに、四つの紫の石があります」

千夏は立ち上がり、紅に四つの紫の石を手渡した。よくよく見ると、千夏の顔色も青白い。中の寒さがうかがえる。ならば、薬師葉乃もかなりの寒さだったに違いない。

「あったところで使い道はないな。使えば、影の国へ連絡が行く。ならば、処分するしかない。とりあえず、私が預かっておく。千夏、葉乃を温かい場所へ。こんなところで、二人とも寒かっただろ。ゆっくり休んでくれ」

千夏は困惑していた。

「彼らは……?」

紅は笑った。

「命は救ったが、ゆっくり話をしないと分からないことが多いからな。どうするかな」

すると、割って入ったのは柴だった。柴は未だに肩で息をしている。


「問題ない。俺がいる。萩らが何かをすることはないと思うが、放置はできないだろ。手伝いで、悠真を残してくれないか?それで十分だ」


 悠真は突如舞い込んだ自らの名に戸惑った。しかし、この状況で役割を振られたことは喜ぶことかもしれない。盤石なる赤の仲間の中で、悠真はいつも守られる側だった。ゆっくり休むのが仕事なようなものだ。今はまるで、頼られているような気がして、悠真は嬉しかったのだ。


「ここは水浸しだから、隣を借りるな」


柴が言い、紅は笑いだけを返した。

「好きにしてくれて構わない」

紅は振り返ると、黒の色神に歩み寄った。

「クロウもゆっくりしていてくれ。もう、戦いは十分だ」

紅は言い残すと、そのまま歩み去った。その行動がいつもと違うような気がしたのは、悠真の気のせいかもしれない。



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