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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と医療(7)

 紅は天を仰いで笑った。

「クロウが火の国に来ることで、何か有益なことがあったのなら、これから火の国に何かあったときは援助してもらいたいものだな。だが、クロウ。火の国は鎖国を続ける。他国との関わりは、紅の石を欲する他国との戦いにつながることがある。ならば、私はこの国を、このまま維持することを望む。私の次の色神がどのような判断をするかは分からないがな」


紅は悠真を見て微笑んだ。

「悠真、お前が火の国に生まれて良かったと思ってくれるのなら、私は赤の色神としてこれ以上の喜びはないんだよ」

紅の微笑みが胸に迫る。


――私の次の色神


悠真はその言葉に引っ掛かりを覚えた。黒の色神が答えた。


「言っただろ、紅。俺は紅に計り知れない恩がある。宵の国を明け渡すなど、無謀なことは出来ないが、出来る限りの恩返しはするつもりだ。何か必要なことがあったら、宵の国に帰った後でもいい。いつでも言ってくれ」

黒の色神が深く頭を下げた。

「火の国の文化に染まったな」

紅が冗談で返した。


 障子の中では、雪の国の先端医療が行われている。背中から伝わる冷気が、それを伝えているのだ。

「赤の色神」

白の色神が紅を呼んだ。

「ん?」

紅が不思議そうに白の色神に問い返した。

「赤の色神、私は強くなれるでしょうか?」

白の色神に唐突な言葉だった。

「強さとは、何を意味するのか。それによっても違うだろうな」

紅はそう答え、ゆっくりと続けた。

「白の色神のさす強さが何を意味しているのか、私には分からない。強さが剣術を指し示すのなら、それは難しいかもしれない。もちろん、私だって黒の色神には叶わないだろう。でも、違う強さならば、分からない。白の色神。勝手な推測だが、あなたは雪の国の何かを廃止した。その腹いせに命を狙われたのだろう?だが、必要だと思ったから、廃止を断行した。それも十分強さじゃないかと、私は思う」

悠真は白の色神に目を向けた。白の色神の目から涙が零れるのを、悠真は見逃さなかった。

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