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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と医療(6)

 白は残酷な色だ。そして、命を軽んじている。悠真はそう思った。心臓を止めるなど、許されることではない。それは最早、神の領域だ。まるで、人間の体をからくりのように扱っているのだから。 

 紅が言った。

「お国柄。ってこともあるだろ。国が違えば、信じる色が違うように、信じる物も違う。氷の国が雪の国の過剰な医療行為を反対したと言っていたが、私はそれも間違っていると思う。氷の国では、自然に任せた生き方を信じられているが、雪の国では違う。もちろん、火の国でもそれは違う。国によって、まったく違うものだろ。どれが正しいとか、どれが間違っているとか、それを言う権利は誰にもないだろ」


紅の声が赤く響く。なんと、心地良い声あろうか。と悠真は思った。これが赤の色神「紅」なのだ。紅の思慮深さが伝わってくる。紅は赤の色神なのに、赤だけを思っているわけでない。


「現に、雪の国の医療技術で萩らは救われる。私は、それを信じている。白の色が救ってくれると。だから、白の色神。あなたには礼を言わなくてはならないな。いろいろと危険はあったが、白の色神のおかげで、私は火の国の民を影の国から取り返すことができた。高価な石を惜しげもなく提供してくれて、技術を提供してくれて、それで火の国の民は助けられる。本当にありがとう」


悠真は紅が礼を言うのは間違っているような気がした。雪の国は火の国に災いをもたらした。それは黒の色神も同じだ。それでも、その言葉が紅らしい。紅の鮮烈な赤色が、何もかもを受け入れて、包み込んでいくのだ。


「まあ、何とも赤の色神らしい」


黒の色神の声には、どこか笑いが含まれていた。黒の色神は続けた。

「だが、その赤色が俺たちに道を示す。そうだろ、白の色神。俺たちは、似た者同士だ。心外だと思ったのなら、許してくれ。――白の色神、俺たちは閉ざされた国。火の国へ来た。小さな島国に来た。それはなぜなのか。俺たちに力を与える色が欲する者がここにあったから。または、他の理由か……。少なくとも、俺たちは火の国に足を運ぶことが必要だった。それは同じだろ」

黒の色神の声は静かに響いた。

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