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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と医療(3)

 柴は外廊下に大の字に横になり、肩で息をしていた。

「大丈夫か?柴」

紅は柴に声をかけた。

「何、問題ないさ。でも、俺も赤の術士。他の色との相性は良くない。それは義藤も同じだろ」

柴はげらげらと笑った。


「野江はどうだ?」


天を見上げて、柴は言った。

「野江も病み上がりだからな。休ませている。空挺丸を動かし、そして水色の石を使ったんだ。もう、充分だろ。秋幸も同じだ」

答えた紅に柴は続けた。

「そうだな。だが、義藤もいつまで持つか分からないぞ」

すると、紅は笑った。

「問題ないさ。まだ、冬彦がいる」

紅は冬彦に目を向けて笑った。そして、柴に問いかけた。

「それで、柴。中の様子はどうなっている?」

柴は身を起こした。それでも、柴は肩で息をし続けている。


「雪の国の医療とは、何とも恐ろしいものさ。俺が思ったのはそれだけ。だが、薬師も十分な働きをしている。手伝いに入っている千夏も立派にやっているさ。だが、アグノの執念を思うな。あの傷で、あれだけ動けるとは誰も思わないだろう」


紅は感心したように言った。

「優れた医療技術は魅力だ。私たちだって、些細な傷で命を落とす。些細な病で命を落とす。きっと、雪の国の医療技術があれば、火の国の民も幸福になるだろうな」

悠真は思った。悠真の母は、なぜ死んだのだろうか。病で死んだが、一体、それはどんな病だったのだろうか。雪の国の医療技術があれば、救われたのだろうか。医療とは、大きな魅力だ。火の国には、どれだけの医師がいるのだろうか。どれだけの薬があるのだろうか。どんなに、葉乃の調合する薬が優れていても、医師がいなければ意味がない。


「だが、なぜアグノは拒否した」


紅が低い声で言った。何を意味しているのか、悠真も分かっていた。アグノの理解できない行動の一つ。それが、白の石の使用拒否だ。あれだけの傷で、なぜ白の石を使用することを拒むのか。悠真にはわからないのだ。

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