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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と医療(2)

色の石が、何種類あるのか、悠真は知らない。青は水を操り、黄は大地を豊かにし、燈は獣と心を交わす。

 水色が何を意味するのか、悠真は分からなかった。


「水色の石が火の国にあったとはな」

義藤が低い声で言った。

「アグノが一つ、所有していたのさ。雪の国と氷の国は近いからな」

紅が遠くを見つめていた。


黒の色神が口を開いた。

「水色の石を持つのは、氷の国。雪の国よりさらに北にある氷の国。雪の国では、夏の間に雪が溶けるが氷の国は一年の大半を氷で覆われている。まるで、雪の国の属国のようで、それでも属国でない。獣の毛皮で暖を取り、狩猟と氷の下の川の漁で国を営む。火の国同様、閉鎖的な国さ。――水色の石の力は、氷の力。氷を生み出す力さ。暑い夏には便利な力だろ」


そして黒の色神は続けた。


「水色の石は貴重さ。火の国の紅の石同様、外界に出回らないからな。アグノは言っていただろ。低体温にすると。ならば、水色の石が必要だ」


白の色神が続けた。

「氷の国は過酷な国よ。気温は-50℃以下になることもあるわ。間違いなく、人が生活している土地で最も寒い場所よ。氷の国の民は、自然と共に生きているの。命に礼儀を持ち、狩猟で生計を立てる。雪の国と違って、命をつなぐことに固執していない。雪の国にとって、死は自然はものなの。私が白の色神となってから、一度だけ、水色の色神にあったことがあるわ。水色の色神は、雪の国の過剰な医療行為に反対していたの。私は医学院を廃止後、私に会いにきたの。そして、その時に水色の石を受け取ったのよ。もちろん、水色の色神は、白の石を受け取らなかったけれどもね」


しばらくして、障子が開いて倒れこむように出てきたのは柴だった。柴の手には水色の石が握られている。

「義藤、次を頼めるか?」

そして、義藤は柴の手から水色の石を受け取ると、中へと入っていった。

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