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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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白と影の国の戦い(11)

 ソルトは泣き叫びたい気持ちだった。アグノにすがって、すぐにでも白の石を使ってほしかった。でも、アグノは拒んでいる。なぜ、拒むのか。


「アグノ、どうして……」


それでもアグノは頑として頷かない。こうなっては、アグノは何もしない。


 白の色神として、ソルトは何をするべきなのか。考えるまでもない。ソルトは、多少落ち着きを取り戻した松とベルナ。そして、二人をなだめる萩に歩み寄って言った。


「分かるでしょ。私は白の色神ソルト。あなたたちの標的よ。あなたたちを苦しめた、雪の国の色神よ。――でも、私は変えたいの。雪の国を変えていきたいの。火の国に来て、私は分かったの。私は弱い。とても弱くて、利用されるだけの存在。実験台にされた苦痛なら、私も分かるつもりよ。救いたいの。信じて。白は変わる。残酷な色になったりしない。アグノを信じて。そうしなきゃ、アグノは白の石を使うことさえ拒むんだから。お願い……」


萩が辺りを見渡した。そして、松とベルナの肩をたたいた。

「影の国から解放されたいか?俺たちの命を懸けて。初対面の者に命を預けることができるか?」

松とベルナは顔を見合わせた。口を開いたのは、松だった。

「俺たちは、萩を信じている。萩はどうしたいんだ?」

萩は微笑んだ。


「松、ベルナ。そして杉。俺は生きたい。これまでの人生、俺は自分の足で立っていただろうか。残りの人生がもしあるのなら、俺は、俺として生きたい」


萩の柔らかな声が響いた。


「白の色神を信じよう」


萩が動いた。白は影の国に負けたりしない。

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