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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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白と影の国の戦い(8)

 影の国が術士を閉じ込める牢獄を作ったのは、雪の国。ならば、それを破壊することができるのは雪の国だけなのだ。


「信じろと?影の国と雪の国に弄ばれた俺たちに、再び雪の国を信じろと?」


萩の声は強い。当然だ。そのまま殺されてもおかしくない。割って入ったのは柴だった。

「萩、生きろ。アグノは下手なことをしたりしないさ。俺が見張っている」

柴の大きな声があたりを包む。大きな赤色が辺りを包む。柴の大きさはソルトにさえ安心感を与える。そして、柴はゆっくりと口を開いた。

「萩、これは雪の国である白と影の国の戦いだ。お前が死ねば、影の国が勝つ。白の色神は雪の国の改革を目指している。ならば、お前はどちらに勝って欲しいんだ?白か?雪の国か?」

柴の言葉は包み込む力を持つ。


――白と影の国の戦い。


柴の些細な表現がソルトの胸を打つ。負けることはできない。ソルトは思った。


――影の国に負けることはできない。


影の国に負けるということは、雪の国の命を軽んじる体制に負けることとなる。ソルトはアグノに差し出した白の石を掴むと、一色が乱れて倒れる二人に歩み寄った。


「ソルト?」


誰の声かわからない。もしかすると、冬彦の声だったのかもしれない。


「彼らの意見もあるでしょ。萩、あなたは、自らの意志で死を選ぶかもしれない。でも、それに仲間を巻き込むの?ここに白の色神がいる。忘れないでちょうだい。白の色神は命を扱う力を持つ神よ。決して、失いたくはないの」


ソルトは、二つの白の石を使った。自らの手で白の石を使うことは、久しぶりのような気がした。ソルトは白の石を生み出す力を持つが、使うのは他の人なのだ。


 白い光。


 その光は残酷な光なのだろうか。命を軽んじる色なのだろうか。


 ソルトは思った。


 白は命を救う力なのだ。


 だから白は負けたりしない。


 影の国との戦いに負けたりしない。



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