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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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白と影の国の戦い(5)

 赤の色神がどのような行動をとるのか。ソルトにはわからない。影の国の術士は、自らの手で自らの命の終焉を迎えようとしている。それが、一時の自由を手にした萩が下した決断だ。彼が雪の国にいたら、萩のような術士が雪の国にいたら、もっと自由にソルトは雪の国で生きることができる。

 色神は一人で生きていけないのだと、ソルトは教えられた。火の国で、赤の色神を支える術士たちを見て、ソルトは知ったのだ。たとえ、色神が優秀であっても、一人全てを動かすことはできない。一人で国を支えることなどできないのだ。


――術士


その偉大さを知った。


 優れた色神と、支える術士によって国は成り立っている。雪の国にはない。雪の国では、色神を神として崇めながら、その実権は色神から離れている。なぜ、色神に実権が必要なのか。想像するに容易い。

 国を守るのが色ならば、色神は色に選ばれた存在。その一色を色が認めた存在。ソルトは、白の色神となるべくしてなったのだ。だから、ソルトの命を奪うことができるのは、色だけだ。


 術士は色神を支える存在。

 術士は必要とされるべき存在。


 なのに、優れた術士の命が、こうやってゴミ屑のように捨てさられるのだ。


「死なせてたまるか」


赤の色神が口を開いた。

「萩。お前は赤の術士だ。先代の紅が柴を救ったようにな。そして、先代の紅が赤丸に命じて春市や千夏を救ったように」

赤の色神が足を進め、シュドリードに歩み寄った。

「春市と千夏の出生を知って、私は疑問に思っていたことがある。アグノ、シュドリードに、まだ質問はできるか?」

赤の色神の言動はとても高圧的だ。なのに、少しも周囲に不快感を与えない。赤の色神はこの場の絶対的な頂点に立っているのだ。辺りの空気を、流れを支配している。それが、赤の色神の力。

 アグノは頷き「是」の意味を赤の色神に伝えた。


「シュドリード。影の国の養成所は、まだ火の国にあるのか?」


赤の色神の強い声が響いた。



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