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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
710/785

白と影の国の戦い(1)

穏やかな声。

低く、響く声。

アグノの声だ。



「あなたの名前は?」

「シュドリード・ムナフェック」


「生まれは?」

「影の国。東地区」


「役職は?」

「元外事実務統率者一級幹部」


「今は?」

「一班長」


「なぜ、あなたは降格を?」

「二年前、火の国から依頼を受け対外実務統率者一級幹部として十班を率いて火の国へ向かった。十年前も、火の国での依頼を果たすために戦い、その戦いで多くの痛手を受けた。だから、十班もの人員を動員した。だが、五十人の術士は悉く敗れた。その責任で降格を受けた」


「今回は、なぜ、火の国に?」

「白の色神暗殺依頼を果たすため。白の色神が雪の国から火の国に出てきたと情報があり、火の国へ」


「あなたのチームは?」

「萩、松、杉、ベルナ」


「どのようなチームですか?」

「戦闘能力では、トップクラス。色神暗殺を行えるチームだ」


「なぜ、彼らが集められたのですか?」

「火の国の生まれである萩、松、杉は優先して集められた。そして、バランサーとしてベルナを加えた」


「火の国へ来たのは初めてですか?」

「いいえ」


「初めて来たのはいつですか?」

「初めて来たのは、三十五年前。火の国内部で戦闘員を集めて、育てるため」


「影の国の民はどの程度の人数いるのですか?」

「純粋な影の国の血を継ぐのは、五千程度。民の大多数は他国より集められた」


「影の国本国との連絡経路はどのように行っているのですか?あなたは術が使えないでしょう」

「四人の術士それぞれが定時連絡を入れるようになっている。生死の確認は心臓の脈をとり、その情報を紫の石を通じて本国へ送っている」


「それも雪の国の技術ですね。そのような研究を行っている部署がありました」

「雪の国の技術だ。影の国の兵士、特に優秀な術士は雪の国へ連れてゆき手術を受ける。萩のような手術はリスクが高いが、生死の確認のための手術は容易い。逃げられないようにするためだ」


「生きたまま、永遠に逃がさない。そういうことですね」

「ああ」


「萩、松、ベルナ、杉。あなたのチーム全員に手術が施されているのですか?」

「ああ」


「では、最後に私の言葉を繰り返してください」

「ああ」


「萩、影の国と縁を切れ」

「萩、影の国と縁を斬れ」


「萩、命令が無くとも己の意志で判断しろ」

「萩、命令が無くとも己の意志で判断しろ」


「萩、己の幸福のために生きろ」

「萩、己の幸福のために生きろ」


「萩、己が歩むはずだった人生を歩め」

「萩、己が歩むはずだった人生を歩め」


「萩、守るべきものを守れ」

「萩、守るべきものを守れ」


「萩、戦うべき時に、己の判断で戦え」

「萩、戦うべき時に、己の判断で戦え」


「萩、お前はもう自由だ」

「萩、お前はもう自由だ」




「ご協力、ありがとうございました。あとはゆっくり休んでください」



穏やかな声。

それは、夢うつつのうちに進む。

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