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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
707/785

白が見る赤(9)

 アグノは白の石を手に取ると、影の国の老人に使った。白い光が輝く。

「以前、影の国と接触したことがあります。それは、影の国が雪の国に依頼をしてきた時です。その時も、このようなメンバー構成でした。一つのグループは五人態勢。一人の長に、四人の部下。おそらく、二年前の火の国の襲撃も同じだったのでしょう。いくつかのグループの寄せ集め、そしてそのグループを統括する者によって襲撃は行われた。そんなことでしょう。今回のグループは、四人の術士と一人の長によって作られています。戦闘員が、萩、松、杉、ベルナ。そして長がこの男なことでしょう。現に彼は術士でありません。萩は誰かの指示で動いています。指示に逆らいながら、それでも逆らえない部分があります。萩に指示を出している者。それが、この男でしょう。彼の指示がなければ、何も改善しません」

白の光が老人の傷を癒し、彼は目を開いた。そして辺りを見渡し、気が狂ったように叫んだ。


「萩!何をしておる!依頼を果たせ!」


彼の言葉が聞き取れたのは、ソルトが紫の石を使っているからだ。言葉に反応したかのように、萩が身をよじる。しかし、土に囚われた萩は、土の牢獄から逃れることができない。


「無駄です。シュドリード」


アグノが低い声で言った。なぜ、アグノが彼の名を知っているのかソルトは分からない。間違いなく、ソルトはシュドリードという人とは初対面なのだから。

「なぜ、わが名を……」

狼狽するシュドリードにアグノは答えた。

「杉から話を聞きました。杉は特殊ですね。雪の国の手術が失敗したのでしょう。杉は萩の命令にしか従わない。でも、それも問題ないと思っていたのでしょう。萩は命令に逆らうことができないのだから、萩を通じて好きに命令をすることができる。――ですが、甘かったですね。萩は命令に逆らう隙を探していた。命令の間に自我を探していた。それが、杉を赤の色神に託すという行為につながったのでしょう。ですから、杉からあなたのことは聞いています」


アグノの声は低く、それはソルトの知るアグノとは別人のようだった。

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