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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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白の見る赤(8)

 極寒の雪の国。風のない日。寒さが凍てつくとき、ダイヤモンドのようにきらめく氷が宙を舞う。キラキラと美しく、それは。心を洗う。


 凍てつく寒さを忘れるほどの美しさ。

 ソルトの心に、ダイヤモンドダストが舞う。


 ソルトは色神として未熟だ。白の石を生み出すという一点では、ソルトは間違いなく色神だろう。しかし、国を背負って生きる色神としては、まだまだ未熟だ。黒の色神と赤の色神が、ソルトにそれを教えた。未熟な色神であるからこそ、逃げられない。


「アグノ。私は白の色神なの。医学院を廃止しても、私の役目は終わらない。私は逃げないわ。色神として生きなくてはならないの。それが、私が火の国を、赤の色神を巻き込んででも生き延びた理由なの。アグノ、私は逃げないわ。私は白の色神なのだから」


アグノは何とも言えない表情を見せた。だが、一つ息を吐いて、そして続けた。

「分かりました。このアグノが、医学院の医学博士だったころに会得した技術をご覧ください。雪の国の残酷な技術を、そして、この残酷な技術を使うアグノの姿を」


アグノは言うと、影の国の三人の術士と、一人の老人を見つめた。

「ソルト、いくつか白の石をいただけませんか?」

アグノは言った。アグノが何をするつもりなのか分からないが、アグノが必要だというのなら必要なのだろう。ソルトは、そう思い、白の石を取り出した。ソルトの持つ白の石がどのような使われ方をしても、ソルトは責任を負う。


 それが、赤の色神と黒の色神が教えてくれたことだ。


 ソルトは白の色神なのだから。

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