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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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白が見る赤(1)

 一面の白い世界。

 吹雪の世界。

 冷たく、閉ざされた世界。


 なんと美しいことだろうか。

 なんと残酷なことだろうか。

 

 ソルトは雪の中に立っているような気持がした。なのに、アグノの姿を見た途端、それが消え去ったのだ。冬彦がソルトを守ってくれていた。まるで、アグノのように。白を持つ優れた術士。彼に会うために、ソルトは火の国に来たのだ。


 そして招いた結果。


 ソルトは災いを火の国にもたらした。



 命を救う白の色神。

 なによりも高貴で神の力を持つ白の色神。

 情けない。

 本当に情けない。

 不要とされた色神は、火の国で処分される。



 処分されるは、白の色神「ソルト」だ。

 赤の色神でない。


 倒れた赤の色神を見てソルトは動揺した。

 心が乱れた。

 息が苦しかった。


 空飛ぶ船から赤の色神が下り立ったとき、白の色神であるソルトが赤の光に心を惹かれたのだ。そもそも、色とは対立するものでないのかもしれない。互いを認め合い、高めあうものなのかもしれない。色たちが覇権を奪い合っているから、必然的に色神も覇権を奪い合う。分かり合えるはずなのだ。


 白の色神であるソルトを救うために、影の国と戦うことを赤の色神が決めたように。


 ソルトは赤の色神に助けられたのだ。


 なのに、ソルトは赤の色神のために何もできない。



 赤の色神のために動くことができるのは「アグノ」だ。雪の国の医学院が行った非道な手術のけりをつけることができるのは、白の国の民であるアグノだ。ソルトはアグノを止めなかった。いや、止めることができないのだ。


 アグノがソルトを抱き上げた。その腕の中は、とても温かく頼りになる。

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