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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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緋色と色神(10)

 野江たちが守る色神「紅」の身に何かが起こった。そのことは分かっているのに、何が起こったのかわからない。


「義藤、赤丸は秋幸のことを何と言っていた?」


柴が低い声で口を開いた。そして、大きな笑みを浮かべて続けた。

「赤丸も一色を見ることができる。俺や紅と違う色を見るかもしれない」

野江には分からない話だ。

「赤丸は秋幸に言っていました。秋幸は他の色の石を使うのが得意なわけではない。紅の石を使うのが苦手なのだと。赤との相性が悪いわけではない。なのに、紅の石を使うのが苦手だと」

義藤の返答に、柴はげらげらと大きく笑った。

「なるほどな。赤丸の目には、そう映ったか」

柴は何の確信も話さない。それが柴だ。野江たちよりも、少し上の世代。


「柴には、何が起こっているのか分かっているのではなくて?」


野江が柴に尋ねると、柴はげらげらと笑った。

「黒の色神と白の色神の様子を見ていただろ。色神である彼らでも、状況についていけていないんだ。紅はすべてを隠している。そのことを、俺たちに探る術はない」

柴は落ち着いていた。その落ち着きが、柴の大きさなのだ。野江を落ち着かせる大きさだ。野江は義藤に目を向けた。義藤はいったい、何を思っているのだろうか。


「ならば、柴。秋幸は一体、何者なんだ?紅の体調不良に、秋幸が関係しているのか?」


義藤の表情に、秋幸を責める気風はない。義藤は優しい人だ。義藤が守る紅に、秋幸が悪影響を及ぼしているとして、義藤は何を思うのか。そんな野暮は疑問を浮かべては、野江は自らの浅ましさを恥じた。

「そんなこと、俺には分からないさ。確かなことがあるとすれば、俺自らが見た、秋幸の一色だ。秋幸の一色に、紅に害なすことを目論んでいるような邪な色はない。それだけだ」

柴が大きく笑みを浮かべた。

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