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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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緋色と色神(7)

 野江は現状を把握しようと思考を巡らせた。しかし、理解できないことも多い。一体、野江の目の前で何が起きたのか。


 倒れる紅。

 色を収束させた秋幸。


 野江は紅の石を強く握りしめた。



 野江の中の不安が大きくなる。嫌な気持ち。変な気分。そして、ただの人である野江には分からない色神たちの会話の後に、白の色神が白の石を取り出し紅に使った。


 目覚めた紅はいつもと同じだ。野江が知る紅と同じだ。野江の知る紅と同じように、周囲に命令を始めた。

 紅が萩を救おうとしていることは分かる。そして、紅が火の国を、赤を守ろうとしていることも分かる。紅が、野江たち火の国の民を守ろうとしてくれていることが分かる。


 赤い羽織が重く感じた。

 野江はこの羽織に見合うものを紅に返せているのだろうか。

 赤い羽織が重い。

 まるで、石のように重くなっていく。


 きっと、野江の心が重いのだ。

 赤い羽織の重さなど、とうに理解していたはずなのに、その重さに耐えることが辛くなってきたのだ。


 紅は自ら動くことを止めた。それがとても異質なことのように思えた。だが、野江は紅の手足だ。陽緋として、いや、紅の近くにいる人として彼女が守ろうとする火の国のために戦うのだ。今、野江にできることは一つだけだ。紅のために、紅の手足となって戦うだけだ。

 紅がアグノに野江らの力を貸すというのなら、野江は紅の駒となり戦うだけだ。アグノが野江らに目を向けた。そして、今に至る。



 野江はアグノを見つめた。はっきり断言できる。アグノは戦いに適していない。術士としての才覚を有していることは間違いないのに、アグノが紅の石や青の石などで戦っている姿を想像することができない。彼が医師だということに納得がいく。アグノを前線に置くべきでない。女の野江が、体の大きなアグノを評価することは間違っているのかもしれないが、野江はアグノと剣術で戦っても勝てる気がしていた。

 アグノは術士だが、そういう存在だ。

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