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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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緋色と色神(5)

 紅がいれば何の心配もない。

 紅がいれば何の問題もない。

 紅がすべてを解決する。

 紅は赤の色神だ。

 火の国を守る赤の色神だ。


 皆がそう思っている。少なくとも、野江はそう思っていた。


 官府では、二つの力が入り乱れていた。それは、柴と影の国の術士「萩」の力の衝突だった。


 紅が萩を説得する。それでも、紅の声は萩に届かない。野江は萩のことを知っている。萩は野江を救ってくれた。アグノに野江の手当てを命じたのも萩だった。杉を野江に託して情報を流したのも萩だった。柴とつながっている人が萩だ。


 乱れる赤色の中。

 野江は紅が助けてくれると信じていた。

 だれもがそうだろう。火の国で紅の下で戦う術士ならば、なおのことだろう。それは野江も同様で、野江も紅に救いを求めていた。

 気持ちの良いほどの紅の行動力。周囲を取り残すほどの決断力。紅は、野江が持っていないものを追っているのだ。


「仕方ない」

低く紅が言い、野江の横から消えた。紅自らが収束に向かうのだ。色神は人とは違う。色神は人でないのだから、野江にできないことができる。色の力を収束させるのも、紅のその力の一つだ。


 野江は紅を信じていた。

 誰よりも信じていた。


 信じていた。

 野江の中で紅は特別だった。

 紅は色神なのだ。

 崇高なる、色神なのだ。


 紅が倒れるのを見たとき、野江は自らの目がおかしくなったのだと思った。決して倒れるはずのない存在が、地に崩れ落ちたのだ。しかし、倒れる紅を守るように走った義藤と、義藤と同じ容姿をした存在を見て、野江は目の前に生じていることが現実なのだと思い知らされた。ならば野江も、じっとしていられない。目の前に生じていることが夢でなく現実であるのならば、それは決してあってはならないことなのだ。

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