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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤に代わる赤(1)

 倒れた紅。


 それは間違いない事実だ。紅が倒れることはあってはならない。

 紅は赤の色神だ。

 赤が器に選んだ存在。

 火の国を守る存在。

 火の国を支える存在。


 何があっても紅が解決してくれていた。

 何があっても紅がそこにいた。

 紅が守ってくれていた。

 困ったときは紅が来てくれた。


 悠真は紅に頼り切っているのだ。


「紅!」


誰が叫んだのか分からない。それは悠真なのかもしれないし、他の人なのかもしれない。確かなことは、渦巻く赤を見ながら、悠真の心臓は不安で信じられないほど早く脈打っているのだ。

 悠真は火の国の民だ。赤い色を見ると、安心する。赤い色を敬う。今、悠真の目の前では、赤が渦巻いている。赤が満ちている。なのに、悠真の心は不安で満たされていた。


 鮮烈で、強い赤が消える。そんな不安が悠真の中を駆け抜けたのだ。


 義藤は紅を抱き上げ、渦から離れるように距離をとった。色の力を収束させることができない以上、渦の近くにいることはできない。赤丸が紅の石の力で守るより、距離をとった方が早い。

 

 紅を抱き上げたまま、義藤は渦から距離をとった。その代わり、赤丸が色を収束させようと動き始めた。赤丸は厄色を持つ。紅が暴走したときも、赤丸が紅を救うために色を収束させた。悠真が手助けしたのは、ほんの少しのことだ。先の心を捨てた者との戦いも、赤丸が色を収束させるという奇襲があったからこそ、松を押さえることができたのだ。赤丸なら何とかしてくれる。そんな淡い期待。赤丸だから助けてくれる。そんな甘い期待。


 赤丸が萩の放つ紅の石の力を収束させ始める。同時に、赤丸の手から血が流れていく。赤丸の中に赤い色が満ちていく。


「赤丸の体が持たない」


秋幸が言った。秋幸は赤丸の一色を見ている。


「止めろ、死ぬぞ!」

黒の色神が空挺丸から駆け降り、イザベラを盾に赤丸に駆け寄った。

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