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一色  作者: 相原ミヤ
火の国の夏に降る雪
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赤と影の国の術士(9)

 悠真は閃いた。生きて萩が救われる唯一の方法。それは、簡単なことだ。萩が今使っているのは紅の石だ。紅がいれば、解決するに容易い。紅が、紅の石の力を収束させれば良いだけのことだ。


 その発想は紅にもあるらしい。紅は空挺丸から下り立った。

「仕方ない……」

紅は一つ呟くと、片手を赤い光の渦へと向けた。

「最近、こういう展開が多いな」

紅が悪態をつくのも当然。下村登一の乱の時も、黒の色神の暴走の時も、結局最後は力と力の衝突だった。紅がいれば、力の収束なんて容易い。悠真もそう思った。


 紅が片手を渦に向けて、足を進めた。萩の放つ赤い色が収束されていく。これで終わる。悠真がそう思ったとき、義藤が突然駆け出した。


「くそっ!」

品の良い義藤の悪態だ。


 とっさに駆け出した義藤の代わりに、秋幸が紅の石の力を使って悠真たちを守った。そして同時に、冬彦が野江の援護を始める。駆け出した義藤は、紅へと向かっている。

 赤い渦の中、義藤は自らの身を紅の石の力で守りながら、一直線に紅へと駆け出す。同時に、もう一つ、影が飛び出した。それは義藤と同じ姿をした存在だ。


 何が起こったのか、悠真には分からなかった。紅は絶大な存在。赤の力を容易く収束させる。それは、赤の色神として当然の力だ。だから、紅に何かあったとは考え難い。

「紅?」

野江が言った。野江も何が起こったのか理解できていない。

 先に駆け付けたのは、義藤が先だった。義藤が紅の下へたどり着いた途端、紅が崩れ落ちた。義藤が赤い羽織で包むように抱きしめ、赤丸が紅の石の力を使って義藤と紅を守った。同時に、黒の色神クロウが放ったイザベラが身を呈して紅の前に立ちはだかった。


「紅?」


悠真は思わず口にした。何が起こったのか理解できなかったのだ。

「紅……」

秋幸も口にした。彼もまた、何が起こったのか理解できずにいるのだ。

「紅」

冬彦も口にした。

「赤の色神……」

それは、白の色神も同様だ。何かが生じたのは事実なのに、何が起こったのか誰にも分からない。もしかしたら、駆け付けた義藤や赤丸は理解しているのかもしれないが、その理由を尋ねる暇もない。事態は混乱を極めているのだから。


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